[PD01] 思春期の攻撃性に関する縦断的検討(3)
母子間葛藤,心理的ストレス反応との関連
Keywords:攻撃性、縦断的調査、交差遅延効果モデル
目 的
小学生から中学生になると,心身の発達や学校移行などに伴い,不安定になりやすく,不適応行動が顕在化しやすくなると言われている。特に,この時期はいじめなどの対人関係の問題が増加し,子どもの攻撃性に関することも問題として,取り上げられている。また,この時期は親子関係も変化し,親子間葛藤も生じやすいことも指摘されている(Steinberg,2001)。
Steeger & Gondoli(2013)は,母子間葛藤と子どもの攻撃行動や抑うつとの間には相互の関連性があることを指摘している。また,Dekovic(1999)は,親子間葛藤と子どもの抑うつとの間には関連があることを報告している。さらに,坂井・山﨑(2005)は子どもの攻撃性と抑うつとの間には関連があると述べている。これらより,子どもの攻撃性と親子間葛藤,抑うつとの間には,相互的に関連があることが考えられる。そこで,本研究は,小学6年生から中学2年生にかけて,3時点の縦断的調査を実施し,子どもの攻撃性と母子間葛藤,心理的ストレス反応との関連について検討する。
方 法
1.調査対象者:東海地区の小学6年生とその母親に対し,第1回目(T1),1年後に同一対象の中学1年生とその母親に対し第2回目(T2),2年後に同一対象の中学2年生とその母親(T3)235組。本研究では,子どもの調査結果のみ対象とした。
2.調査時期:T1;2014年12月,T2;2015年12月,T3;2016年12月
3.手続き:担任教諭から調査用紙を児童生徒に配布し,調査趣旨に同意が得られた児童生徒が自宅で実施して,終了後担任教諭に提出した。
4.調査内容:①攻撃行動尺度(高橋他,2009);攻撃行動の発現頻度を測定する9項目を用いた(5件法,0点~4点)。②親子間葛藤尺度(CBQ parallel)version(Sturge-Apple et al,2003);22項目(4件法,1点~4点)の日本語翻訳版を用いた。この尺度は親用と子ども用に分かれているが同一概念を測定する平行尺度である。本研究では,開発者の許可を得て翻訳版を作成した。③心理的ストレス反応尺度;鈴木他(1997)が作成した尺度18項目を用いた(4件法,0点~3点)。
結果・考察
1.3時点の攻撃行動と母子間葛藤,心理的ストレス反応との関連
3時点の攻撃行動と母子間葛藤,心理的ストレス反応との関連を検討するために,ピアソンの積率相関係数を求めた(Table1)。その結果,すべて正の有意な相関関係が認められた。次に,3時点の攻撃行動と母子間葛藤,心理的ストレス反応の交差遅延効果モデルを検討した(Figure1)。適合度は,CFI=1.000,RMSEA=.013であった。攻撃行動,母子間葛藤,心理的ストレス反応のすべての各時点間は正の有意なパスが認められた。T1の攻撃行動がT2の母子間葛藤と心理的ストレス反応に対して,T2の攻撃行動がT3の母子間葛藤と心理的ストレス反応に対して正の有意なパスが認められた。中学1年生と2年生の攻撃行動は,次年度の母子間葛藤と心理的ストレス反応を予測するという結果になった。Steeger & Gondoli(2013)は子どもの攻撃行動,抑うつと母子間葛藤の間には相互の関連性があると述べているが,本研究では認められなかった。Loukas(2009)は子どもの問題行動は親の養育態度を予測すると述べており,類似した結果であると言えよう。今後は,性別を考慮にいれた分析を実施していく。
小学生から中学生になると,心身の発達や学校移行などに伴い,不安定になりやすく,不適応行動が顕在化しやすくなると言われている。特に,この時期はいじめなどの対人関係の問題が増加し,子どもの攻撃性に関することも問題として,取り上げられている。また,この時期は親子関係も変化し,親子間葛藤も生じやすいことも指摘されている(Steinberg,2001)。
Steeger & Gondoli(2013)は,母子間葛藤と子どもの攻撃行動や抑うつとの間には相互の関連性があることを指摘している。また,Dekovic(1999)は,親子間葛藤と子どもの抑うつとの間には関連があることを報告している。さらに,坂井・山﨑(2005)は子どもの攻撃性と抑うつとの間には関連があると述べている。これらより,子どもの攻撃性と親子間葛藤,抑うつとの間には,相互的に関連があることが考えられる。そこで,本研究は,小学6年生から中学2年生にかけて,3時点の縦断的調査を実施し,子どもの攻撃性と母子間葛藤,心理的ストレス反応との関連について検討する。
方 法
1.調査対象者:東海地区の小学6年生とその母親に対し,第1回目(T1),1年後に同一対象の中学1年生とその母親に対し第2回目(T2),2年後に同一対象の中学2年生とその母親(T3)235組。本研究では,子どもの調査結果のみ対象とした。
2.調査時期:T1;2014年12月,T2;2015年12月,T3;2016年12月
3.手続き:担任教諭から調査用紙を児童生徒に配布し,調査趣旨に同意が得られた児童生徒が自宅で実施して,終了後担任教諭に提出した。
4.調査内容:①攻撃行動尺度(高橋他,2009);攻撃行動の発現頻度を測定する9項目を用いた(5件法,0点~4点)。②親子間葛藤尺度(CBQ parallel)version(Sturge-Apple et al,2003);22項目(4件法,1点~4点)の日本語翻訳版を用いた。この尺度は親用と子ども用に分かれているが同一概念を測定する平行尺度である。本研究では,開発者の許可を得て翻訳版を作成した。③心理的ストレス反応尺度;鈴木他(1997)が作成した尺度18項目を用いた(4件法,0点~3点)。
結果・考察
1.3時点の攻撃行動と母子間葛藤,心理的ストレス反応との関連
3時点の攻撃行動と母子間葛藤,心理的ストレス反応との関連を検討するために,ピアソンの積率相関係数を求めた(Table1)。その結果,すべて正の有意な相関関係が認められた。次に,3時点の攻撃行動と母子間葛藤,心理的ストレス反応の交差遅延効果モデルを検討した(Figure1)。適合度は,CFI=1.000,RMSEA=.013であった。攻撃行動,母子間葛藤,心理的ストレス反応のすべての各時点間は正の有意なパスが認められた。T1の攻撃行動がT2の母子間葛藤と心理的ストレス反応に対して,T2の攻撃行動がT3の母子間葛藤と心理的ストレス反応に対して正の有意なパスが認められた。中学1年生と2年生の攻撃行動は,次年度の母子間葛藤と心理的ストレス反応を予測するという結果になった。Steeger & Gondoli(2013)は子どもの攻撃行動,抑うつと母子間葛藤の間には相互の関連性があると述べているが,本研究では認められなかった。Loukas(2009)は子どもの問題行動は親の養育態度を予測すると述べており,類似した結果であると言えよう。今後は,性別を考慮にいれた分析を実施していく。