[PF63] 看護系大学への進路選択および修学に関する調査(1)
高校生および高校教員のもつイメージ
Keywords:看護学生、修学
問題と目的
看護職を養成する大学は2018年現在,277校であり,1991年と比較して27倍と急激に増加してきている。看護師を目指す進路は多様であり,学生は文系・理系のいずれからも選択が可能である。看護系大学への入学後,学生は講義に加え長期間の実習を経て卒業時に専門職として活躍していくことが求められる。高校生の看護系への進路決定に影響をもたらす要因には,生徒自身の意志が最も多く,次いで担任教師の助言が多いといわれている(荒川ら,1991)。しかし,高校教員は全般的に看護系の進路指導をする際,養成課程の違いや競争率などの情報が少ないといった困難を抱えている(中野ら,2016)。
本研究は,高校生および高校教員が看護系大学履修に関してどのようなイメージを抱いているか,看護系大学への進路決定の現状を明らかにすることを目的とする。
方 法
(1)調査対象者
機縁法によって抽出した普通科を有する高校4校に所属する高校生597名に質問紙を配布し584名から回答を得た(回収率97.8%)。高校教員は283名に質問紙を配布し131名より回答を得た(回収率46.3%)。
(2)調査手続き
無記名自記式の質問紙を配布し,留置法にて回収した。調査時期は2018年9月~10月であった。
(3)調査内容
高校生(調査1):看護系大学のへの進学希望の有無,進路相談における相談相手および内容,看護師に対するイメージ(14項目),看護系大学における修学へのイメージ(18項目)について「とてもあてはまる:5」から「あてはまらない:1」の5件法を用いて尋ねた。高校教員(調査2):看護系大学への進路指導経験の有無,看護系大学を生徒に勧めた理由(11項目),看護課程への進路指導で困っている内容(10項目)について5件法を用いて尋ねた。
(4)倫理的配慮
研究対象者に研究目的や方法,無記名自記式による調査であるため個人が特定されないこと,研究への参加は任意であることを文書および口頭にて説明し,質問紙の提出をもって同意を得ることとした。
結果と考察
高校生が抱く看護師のイメージは、価値のある職業(4.49),責任感のある人(4.41),専門的な職業(4.35)の順に平均値が高く、教員も同様の結果を示した。一方、看護系大学修学について高校生は患者家族と関わる(4.17),実習が長期間続く(4.00)と実習中心の生活を過ごすことをイメージしていたが,高校教員は就職がしやすい(4.47)が最も平均値が高かった。
看護系大学進学を希望・検討していると回答した生徒は,10.3%(60名)であった。進路の相談相手は,両親90.0%(54名),担任の教師は58.3%(35名)であった。教員への相談内容は,自分の成績で行ける学校について71.4%(25名),入試科目について45.7%(16名),推薦の可否22.9%(8名)であった。
看護系大学を志望する高校生は,両親との進路に関する相談を経て担任教師に受験校や入試科目,推薦の有無など受験に関する相談をしていることが示された。
進路指導経験がある高校教員105名のうち,看護系大学への進路指導経験者は92.4%(97名)であった。高校教員が生徒に看護系大学を進めた理由は,生徒からの発言76.3%(74名),専門職であるから43.3%(42名),需要の高い職業であるから34.0%(33名)など本人の希望に加え就職を意識する内容を示す回答が多かった。
看護系大学への進路指導で困難を感じていた教員は55.0%(72名)であった。教員が困難を感じる理由は,大学2と専門学校の違い36.1%(26名),進学後の様子がわからない27.8%(20名),どのような生徒が適しているのか25.0%(18名)であった。その他「生徒本人は希望していないが,保護者が看護系大学を強く勧める」という記述がみられた。
進路指導を担当する高校教員は,看護系大学に進学した生徒の適応状態を把握できないことに加え高校生が保護者の希望によって進路選択をしている状況に対して戸惑いを抱いていることが示された。加えて高校教員は,看護師資格は複数あること,保健師や養護教諭など全員が取得可能なのか,選択制なのかなど大学ごとに異なる養成課程について十分に把握できていないことが考えられた。
看護職を養成する大学は2018年現在,277校であり,1991年と比較して27倍と急激に増加してきている。看護師を目指す進路は多様であり,学生は文系・理系のいずれからも選択が可能である。看護系大学への入学後,学生は講義に加え長期間の実習を経て卒業時に専門職として活躍していくことが求められる。高校生の看護系への進路決定に影響をもたらす要因には,生徒自身の意志が最も多く,次いで担任教師の助言が多いといわれている(荒川ら,1991)。しかし,高校教員は全般的に看護系の進路指導をする際,養成課程の違いや競争率などの情報が少ないといった困難を抱えている(中野ら,2016)。
本研究は,高校生および高校教員が看護系大学履修に関してどのようなイメージを抱いているか,看護系大学への進路決定の現状を明らかにすることを目的とする。
方 法
(1)調査対象者
機縁法によって抽出した普通科を有する高校4校に所属する高校生597名に質問紙を配布し584名から回答を得た(回収率97.8%)。高校教員は283名に質問紙を配布し131名より回答を得た(回収率46.3%)。
(2)調査手続き
無記名自記式の質問紙を配布し,留置法にて回収した。調査時期は2018年9月~10月であった。
(3)調査内容
高校生(調査1):看護系大学のへの進学希望の有無,進路相談における相談相手および内容,看護師に対するイメージ(14項目),看護系大学における修学へのイメージ(18項目)について「とてもあてはまる:5」から「あてはまらない:1」の5件法を用いて尋ねた。高校教員(調査2):看護系大学への進路指導経験の有無,看護系大学を生徒に勧めた理由(11項目),看護課程への進路指導で困っている内容(10項目)について5件法を用いて尋ねた。
(4)倫理的配慮
研究対象者に研究目的や方法,無記名自記式による調査であるため個人が特定されないこと,研究への参加は任意であることを文書および口頭にて説明し,質問紙の提出をもって同意を得ることとした。
結果と考察
高校生が抱く看護師のイメージは、価値のある職業(4.49),責任感のある人(4.41),専門的な職業(4.35)の順に平均値が高く、教員も同様の結果を示した。一方、看護系大学修学について高校生は患者家族と関わる(4.17),実習が長期間続く(4.00)と実習中心の生活を過ごすことをイメージしていたが,高校教員は就職がしやすい(4.47)が最も平均値が高かった。
看護系大学進学を希望・検討していると回答した生徒は,10.3%(60名)であった。進路の相談相手は,両親90.0%(54名),担任の教師は58.3%(35名)であった。教員への相談内容は,自分の成績で行ける学校について71.4%(25名),入試科目について45.7%(16名),推薦の可否22.9%(8名)であった。
看護系大学を志望する高校生は,両親との進路に関する相談を経て担任教師に受験校や入試科目,推薦の有無など受験に関する相談をしていることが示された。
進路指導経験がある高校教員105名のうち,看護系大学への進路指導経験者は92.4%(97名)であった。高校教員が生徒に看護系大学を進めた理由は,生徒からの発言76.3%(74名),専門職であるから43.3%(42名),需要の高い職業であるから34.0%(33名)など本人の希望に加え就職を意識する内容を示す回答が多かった。
看護系大学への進路指導で困難を感じていた教員は55.0%(72名)であった。教員が困難を感じる理由は,大学2と専門学校の違い36.1%(26名),進学後の様子がわからない27.8%(20名),どのような生徒が適しているのか25.0%(18名)であった。その他「生徒本人は希望していないが,保護者が看護系大学を強く勧める」という記述がみられた。
進路指導を担当する高校教員は,看護系大学に進学した生徒の適応状態を把握できないことに加え高校生が保護者の希望によって進路選択をしている状況に対して戸惑いを抱いていることが示された。加えて高校教員は,看護師資格は複数あること,保健師や養護教諭など全員が取得可能なのか,選択制なのかなど大学ごとに異なる養成課程について十分に把握できていないことが考えられた。