[PF65] 中学生がイメージする学習指導要領での道徳の内容項目
主として人との関わりに関すること
Keywords:道徳、学習指導要領、人との関わり
問題と目的
平成29年3月,小中学校等の新学習指導要領が告示され,「道徳の時間」が「特別の教科 道徳」になり,平成30年度から小学校,平成31年度から中学校に道徳の検定教科書が導入され,道徳科が全面実施される。道徳科の評価に当たって,「数値による評価ではなく,記述式とすること・・・」等が求められている(『特別の教科 道徳』の指導方法・評価等について(報告)【概要】,平成28年7月)。
「『特別の教科 道徳』の指導方法・評価等について(報告)【概要】」においても,評価に当たっては,児童生徒が一年間書きためた感想文をファイルしたり,1回1回の授業の中で全ての児童生徒について評価を意識して変容を見取るのは難しいため,年間35時間の授業という長い期間で見取ったりするなどの工夫が必要,と指摘している。教師が,学習によって変容していく児童・生徒の個人の実状を把握するためには,段階的に評価を継続できる座標になるものが必要だと考えられる。道徳学習ノートや感想文・作文,ワークシートなどの蓄積物から,児童・生徒一人ひとりの学習状況や道徳性の成長の様子を見取るポートフォリオ評価方法があるが,それだけでは詳細な変化を捉えることは難しい。ある一定期間内での変化を捉えるのには,質問紙形式で評価することも効果的であろう。質問紙法は手軽に利用できる方法である(宮下, 1998)ため,児童・生徒の道徳科を評価する一つの方法として考えられる。しかし現段階において,そのような質問紙がまだ開発されていないのが現状である。したがって本研究は,児童・生徒の考えを取り上げながら,児童・生徒がイメージする学習指導要領での道徳の内容項目はどのようなものなのか,について検討し,質問紙項目作りを行う。
上記のことより本研究は,児童・生徒がイメージする学習指導要領での道徳の内容項目はどのようなものなのか,について検討できる質問紙を作成することを目的とする。本発表においては,中学生がイメージする学習指導要領での道徳の内容
項目の中で,「主として人との関わりに関すること」について検討できる質問紙を作成するための項目収集を目的とする。
方 法
調査対象:首都圏と東北地方の中学校1~3年生252名
調査時期:2018年7月
調査内容:(1)フェースシート:学年,年齢,性別の記入を求めた。(2)中学生がイメージする学習指導要領での道徳の内容項目について,「あなたにとって『礼儀の意義を理解し,時と場に応じた適切な言動をとる』はどのようなことだと思いますか。思いつく限り詳しく書いてください」のように,例を示し,主として人との関わりに関することの4側面について,それぞれ自由記述してもらった。
結果と考察
回答の全てをKJ法により分類した。得られた記述内容のうち,意味の似ているものを整理し,全体に占める割合が10%を超えた内容をまとめた。その結果,(1)「思いやり・感謝」において,「困っている人や大変そうな人がいたら助ける」「相手の立場に立って,相手の気持ちを考えて行動する」など9個の項目が収集された。(2)「礼儀」において,「その場の雰囲気を考えて,言葉遣いに気をつける」「目上の人にはしっかり敬語を使い,失礼のないようにする」など6個の項目が収集された。(3)「友情・信頼」において,「友達が落ち込んでいる時,励ましてあげる」,「男女の違いを認めて互いに尊重し合う」など12個の項目が収集された。(4)「相互理解・寛容において」,「相手の意見も理解し,自分の意見も理解してもらう」,「人はみんな長所と短所があるので,他者から謙虚に学ぶ」など12個の項目が収集された。
以上より,学習指導要領での道徳の内容について,中学生はその内容を日常生活と関連して捉えることが考えられる。今後,この内容項目の妥当性について道徳の専門家に判断をお願いする。
平成29年3月,小中学校等の新学習指導要領が告示され,「道徳の時間」が「特別の教科 道徳」になり,平成30年度から小学校,平成31年度から中学校に道徳の検定教科書が導入され,道徳科が全面実施される。道徳科の評価に当たって,「数値による評価ではなく,記述式とすること・・・」等が求められている(『特別の教科 道徳』の指導方法・評価等について(報告)【概要】,平成28年7月)。
「『特別の教科 道徳』の指導方法・評価等について(報告)【概要】」においても,評価に当たっては,児童生徒が一年間書きためた感想文をファイルしたり,1回1回の授業の中で全ての児童生徒について評価を意識して変容を見取るのは難しいため,年間35時間の授業という長い期間で見取ったりするなどの工夫が必要,と指摘している。教師が,学習によって変容していく児童・生徒の個人の実状を把握するためには,段階的に評価を継続できる座標になるものが必要だと考えられる。道徳学習ノートや感想文・作文,ワークシートなどの蓄積物から,児童・生徒一人ひとりの学習状況や道徳性の成長の様子を見取るポートフォリオ評価方法があるが,それだけでは詳細な変化を捉えることは難しい。ある一定期間内での変化を捉えるのには,質問紙形式で評価することも効果的であろう。質問紙法は手軽に利用できる方法である(宮下, 1998)ため,児童・生徒の道徳科を評価する一つの方法として考えられる。しかし現段階において,そのような質問紙がまだ開発されていないのが現状である。したがって本研究は,児童・生徒の考えを取り上げながら,児童・生徒がイメージする学習指導要領での道徳の内容項目はどのようなものなのか,について検討し,質問紙項目作りを行う。
上記のことより本研究は,児童・生徒がイメージする学習指導要領での道徳の内容項目はどのようなものなのか,について検討できる質問紙を作成することを目的とする。本発表においては,中学生がイメージする学習指導要領での道徳の内容
項目の中で,「主として人との関わりに関すること」について検討できる質問紙を作成するための項目収集を目的とする。
方 法
調査対象:首都圏と東北地方の中学校1~3年生252名
調査時期:2018年7月
調査内容:(1)フェースシート:学年,年齢,性別の記入を求めた。(2)中学生がイメージする学習指導要領での道徳の内容項目について,「あなたにとって『礼儀の意義を理解し,時と場に応じた適切な言動をとる』はどのようなことだと思いますか。思いつく限り詳しく書いてください」のように,例を示し,主として人との関わりに関することの4側面について,それぞれ自由記述してもらった。
結果と考察
回答の全てをKJ法により分類した。得られた記述内容のうち,意味の似ているものを整理し,全体に占める割合が10%を超えた内容をまとめた。その結果,(1)「思いやり・感謝」において,「困っている人や大変そうな人がいたら助ける」「相手の立場に立って,相手の気持ちを考えて行動する」など9個の項目が収集された。(2)「礼儀」において,「その場の雰囲気を考えて,言葉遣いに気をつける」「目上の人にはしっかり敬語を使い,失礼のないようにする」など6個の項目が収集された。(3)「友情・信頼」において,「友達が落ち込んでいる時,励ましてあげる」,「男女の違いを認めて互いに尊重し合う」など12個の項目が収集された。(4)「相互理解・寛容において」,「相手の意見も理解し,自分の意見も理解してもらう」,「人はみんな長所と短所があるので,他者から謙虚に学ぶ」など12個の項目が収集された。
以上より,学習指導要領での道徳の内容について,中学生はその内容を日常生活と関連して捉えることが考えられる。今後,この内容項目の妥当性について道徳の専門家に判断をお願いする。