[PG13] 態度の視点を取り入れた学習相談プロセスモデルの生成
Keywords:学習相談、認知・情緒・行動、中学・高校生
問題・目的
スクールカウンセラーや相談員などの専門的ヘルパーは主に不登校や発達の問題に付随して学習にまつわる相談を受け,生徒と教員のつなぎ役,能力の特性に合わせた学習方法の提案などの支援を行っている一方で,支援の種類や介入の視点が限られているという問題がある(児玉・外山,2017)。そこで本研究では,専門的ヘルパーが介入しやすいと考えられる認知・情緒・行動の3側面を持つ態度の視点を取り入れた学習相談を実践した上で,プロセスモデルを生成することを目的とした。
方 法
中学・高校生を対象に第一著者がカウンセラーとなり個別の学習相談を複数回実施した(2016年11月〜2018年3月)。主訴は「やり方がわからない」「やる気が出ない」「失敗がこわい」など自由に設定してもらった。各回の相談では主訴の他にふだんの学習の「ふり返り」を自由に話してもらい,またその中で見られた3側面の特徴を指摘することがあった。最終回にそれまでの「相談のまとめ」「認知・情緒・行動のまとめ」のプリントを提示し,相談全体をふり返ってもらい,発言内容を録音し逐語録を作成した。それをテクストデータとして,ケースごとにSCAT(大谷,2008)を用いて,学習相談の中で見られた構成概念(要因)の抽出,ストーリーラインおよび理論記述の作成を行った。
結果・考察
SCAT分析の結果(分析1) 対象とした有効なケース数(相談回数の平均)は中学生7(6.6回),高校生6(8.7回)であった。分析例をTable 1に示した。各自のストーリーラインより相談の流れは「問題」→「支援・対処」→「成果」に大別できた。理論記述より,生徒はカウンセラーから専門性の高い支援を受けつつ自分の問題に十分に向き合うことで,対処が促進されることが示唆された。
構成概念の整理(分析2) 見出された構成概念数は「問題」で81,「支援・対処」で127,「成果」で82であり,これらのカテゴリー化を行った。その結果,問題の内容として「学習方略」「知的能力の特性」「学習の態度(認知・情緒・行動面)」の5つに分けることができ,その上で「問題」では8カテゴリーが,「支援・対処」は4つの大カテゴリー(心理的レディネス,客観的自己の受け入れ,折り合いの検討,個人支援)に分かれた上でそれぞれ3,7,10,2カテゴリーが,「成果」では8カテゴリーが見出された。
プロセスモデルの生成 分析1と2をまとめた(Figure 1)。学習方略と知的能力の特性の問題では専門的ヘルパーによって得意・不得意があるかもれしれないが,態度の3側面の要因は専門的ヘルパーが介入しやすいと考えられた。今後の課題としてモデルの信用性や転用可能性の検証がある。
スクールカウンセラーや相談員などの専門的ヘルパーは主に不登校や発達の問題に付随して学習にまつわる相談を受け,生徒と教員のつなぎ役,能力の特性に合わせた学習方法の提案などの支援を行っている一方で,支援の種類や介入の視点が限られているという問題がある(児玉・外山,2017)。そこで本研究では,専門的ヘルパーが介入しやすいと考えられる認知・情緒・行動の3側面を持つ態度の視点を取り入れた学習相談を実践した上で,プロセスモデルを生成することを目的とした。
方 法
中学・高校生を対象に第一著者がカウンセラーとなり個別の学習相談を複数回実施した(2016年11月〜2018年3月)。主訴は「やり方がわからない」「やる気が出ない」「失敗がこわい」など自由に設定してもらった。各回の相談では主訴の他にふだんの学習の「ふり返り」を自由に話してもらい,またその中で見られた3側面の特徴を指摘することがあった。最終回にそれまでの「相談のまとめ」「認知・情緒・行動のまとめ」のプリントを提示し,相談全体をふり返ってもらい,発言内容を録音し逐語録を作成した。それをテクストデータとして,ケースごとにSCAT(大谷,2008)を用いて,学習相談の中で見られた構成概念(要因)の抽出,ストーリーラインおよび理論記述の作成を行った。
結果・考察
SCAT分析の結果(分析1) 対象とした有効なケース数(相談回数の平均)は中学生7(6.6回),高校生6(8.7回)であった。分析例をTable 1に示した。各自のストーリーラインより相談の流れは「問題」→「支援・対処」→「成果」に大別できた。理論記述より,生徒はカウンセラーから専門性の高い支援を受けつつ自分の問題に十分に向き合うことで,対処が促進されることが示唆された。
構成概念の整理(分析2) 見出された構成概念数は「問題」で81,「支援・対処」で127,「成果」で82であり,これらのカテゴリー化を行った。その結果,問題の内容として「学習方略」「知的能力の特性」「学習の態度(認知・情緒・行動面)」の5つに分けることができ,その上で「問題」では8カテゴリーが,「支援・対処」は4つの大カテゴリー(心理的レディネス,客観的自己の受け入れ,折り合いの検討,個人支援)に分かれた上でそれぞれ3,7,10,2カテゴリーが,「成果」では8カテゴリーが見出された。
プロセスモデルの生成 分析1と2をまとめた(Figure 1)。学習方略と知的能力の特性の問題では専門的ヘルパーによって得意・不得意があるかもれしれないが,態度の3側面の要因は専門的ヘルパーが介入しやすいと考えられた。今後の課題としてモデルの信用性や転用可能性の検証がある。