日本教育心理学会第61回総会

Presentation information

ポスター発表

[PH] ポスター発表 PH(01-65)

Mon. Sep 16, 2019 1:00 PM - 3:00 PM 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号13:00~14:00
偶数番号14:00~15:00

[PH01] 児童のセルフモニタリングと学校生活との関連

大嶽さと子1, 谷伊織2, 吉橋由香3, 田倉さやか, 永田雅子4 (1.名古屋女子大学短期大学部, 2.愛知淑徳大学, 3.ならい心療内科, 4.名古屋大学)

Keywords:セルフモニタリング、学校生活、児童

問題と目的
 いじめや不登校など学校での問題が注目されるようになって久しい。特に近年は児童においても問題視されている。学校生活を適応的に送ることはその子どもの人格発達にも影響を及ぼすことから(野中・永田,2010),親や教師などの周囲の大人がそれを支えていくことは重要なことである。
 吉橋ら(2016)は, 自らの状態に気づいて分析し,それに応じた対処行動をとることをセルフモニタリングと定義し,小中学生を対象に「気づき・観察」「評価・分析」「対処行動」の3次元からなる「セルフモニタリング尺度」を作成している。しかし,セルフモニタリングと,学校での適応との関連については十分に分析をされていない。
 そこで本研究では,小学生を対象とした質問紙調査を実施し,セルフモニタリングと,友人関係や学業,教師との関係との関連を検討する。また学年を分けて分析し,その発達の様子も検討する。
方  法
調査対象者 公立A小学校に在籍する3年生から6年生までのうち,保護者より研究の趣旨に同意が得られた児童422名(3年生67名,4年生111名,5年生121名,6年生123名)を調査対象者とした。学級ごとに各担任教諭によって実施された。
調査内容 (1)セルフモニタリング:谷ら(2017)で作成された「小中学生臨床用セルフモニタリング尺度」を使用した。上述の3次元からなるが,「時間感覚」「感情」「身体感覚」「対人場面」の4つの領域から捉えることもできる。全36項目4件法。(2)学校生活:江村・大久保(2012)で作成された「学校生活尺度」を使用した。「友人との関係」「学業」「教師との関係」の3因子からなり,得点が高いほど学校生活が良好なものであることを示す。19項目4件法。
結果と考察
 学年ごとに尺度間の相関係数を求めた (Table1~4)。5・6年生ではいずれも正の相関がみられた。
 「友人との関係」は,どの学年も「対処行動」と「対人場面」について.40以上の比較的強い相関がみられた。その場に応じた適切な行動がとれたり,友人の反応や様子に目を向けたりできることが関係の良好さにつながるといえよう。「学業」「教師との関係」では,どの学年も正の相関がみられた。自分の状態に気づき,分析し,適切な行動がとれることが,学業適応を良好にし,教師との関係も適応が得られやすいことがわかった。
 領域でみると,5・6年生は「友人との関係」の「時間感覚」を除く全ての尺度間において.40以上の比較的強い相関がみられた。特に高学年において,セルフモニタリングの力が学校生活の良好さに関係があると思われた。