[PH08] 青年期の恋愛に関するリスク認知尺度作成
Keywords:青年期、恋愛、リスク認知
問題と目的
恋愛にはリスクがあるということが述べられている(牛窪, 2015など)が,恋愛をリスクという観点から捉えた研究はほとんど行われていない。そこで本研究では,現代青年の恋愛に関するリスク認知尺度を作成し,基礎的な知見を得ることを目的とする。
方 法
調査対象者 大学生158名(男性60名,女性98名;平均年齢20.5歳, SD=2.0歳)。
質問紙の構成 ①対象者の基礎情報,②恋愛対象の性別,③恋人有無,④恋人の希求度(恋人有無でいないと回答した方のみ),⑤過去の交際人数,⑥恋愛に関するリスク項目(交際前,交際中,交際後,非恋愛): 予備調査で恋愛に関するリスク記述の収集・カテゴリー化し,カテゴリーをもとに項目作成を行った。
手続き 授業時に質問紙を配布し,その場で回収した。
結果・考察
因子分析 恋愛に関するリスク認知項目を交際前,交際中,交際後,非恋愛でそれぞれ因子分析を行った。交際前では「交際の強制」,「交際への発展困難(交際発展困難)」,「好きな人への熱中(熱中)」,「他者のうわさ話(うわさ話)」の4因子が抽出された。交際中では,「交際相手からの行動の制限・暴力(制限・暴力)」,「交際相手の浮気(浮気)」,「金銭的・精神的消耗(消耗)」,「他者とのトラブル(トラブル)」の4因子が抽出された。交際後では,「関係復帰の困難(関係復帰困難)」と「元交際相手や他者からの嫌がらせ(嫌がらせ)」の2因子が抽出された。非恋愛では「現状・将来への不安(不安)」,「他者からの偏見(偏見)」の2因子が抽出された。全ての因子においてα係数が.70以上であったため,十分な内的一貫性が確認された。そこで,各因子に.40以上の負荷量を示した項目の平均を算出し,各得点とした。
相関係数 交際人数と交際希求度と恋愛に関するリスク認知12得点の相関係数を男女別に算出した(Table 1)。男女で相関の値に違いが見られたので,本研究では男女別に検討することが望ましいと判断された。
分散分析 性別と恋人有無による恋愛に関するリスク認知12得点の2要因分散分析を行った。性別の主効果がみられたすべての得点において,男性よりも女性のほうが有意に得点が高かった。恋人有無の主効果が見られたすべての得点において,恋人のいない群のほうがいる群よりも有意に得点が高かった。また,性別と交際経験による12得点の2要因分散分析を行った結果,性別においては先ほどと同様の結果が得られた。交際経験の主効果が見られたすべての得点において,交際経験無群のほうが有群よりも有意に得点が高かった。
本研究の結果から,恋愛に関するリスク認知項目において,十分な内的一貫性が確認された。
恋愛にはリスクがあるということが述べられている(牛窪, 2015など)が,恋愛をリスクという観点から捉えた研究はほとんど行われていない。そこで本研究では,現代青年の恋愛に関するリスク認知尺度を作成し,基礎的な知見を得ることを目的とする。
方 法
調査対象者 大学生158名(男性60名,女性98名;平均年齢20.5歳, SD=2.0歳)。
質問紙の構成 ①対象者の基礎情報,②恋愛対象の性別,③恋人有無,④恋人の希求度(恋人有無でいないと回答した方のみ),⑤過去の交際人数,⑥恋愛に関するリスク項目(交際前,交際中,交際後,非恋愛): 予備調査で恋愛に関するリスク記述の収集・カテゴリー化し,カテゴリーをもとに項目作成を行った。
手続き 授業時に質問紙を配布し,その場で回収した。
結果・考察
因子分析 恋愛に関するリスク認知項目を交際前,交際中,交際後,非恋愛でそれぞれ因子分析を行った。交際前では「交際の強制」,「交際への発展困難(交際発展困難)」,「好きな人への熱中(熱中)」,「他者のうわさ話(うわさ話)」の4因子が抽出された。交際中では,「交際相手からの行動の制限・暴力(制限・暴力)」,「交際相手の浮気(浮気)」,「金銭的・精神的消耗(消耗)」,「他者とのトラブル(トラブル)」の4因子が抽出された。交際後では,「関係復帰の困難(関係復帰困難)」と「元交際相手や他者からの嫌がらせ(嫌がらせ)」の2因子が抽出された。非恋愛では「現状・将来への不安(不安)」,「他者からの偏見(偏見)」の2因子が抽出された。全ての因子においてα係数が.70以上であったため,十分な内的一貫性が確認された。そこで,各因子に.40以上の負荷量を示した項目の平均を算出し,各得点とした。
相関係数 交際人数と交際希求度と恋愛に関するリスク認知12得点の相関係数を男女別に算出した(Table 1)。男女で相関の値に違いが見られたので,本研究では男女別に検討することが望ましいと判断された。
分散分析 性別と恋人有無による恋愛に関するリスク認知12得点の2要因分散分析を行った。性別の主効果がみられたすべての得点において,男性よりも女性のほうが有意に得点が高かった。恋人有無の主効果が見られたすべての得点において,恋人のいない群のほうがいる群よりも有意に得点が高かった。また,性別と交際経験による12得点の2要因分散分析を行った結果,性別においては先ほどと同様の結果が得られた。交際経験の主効果が見られたすべての得点において,交際経験無群のほうが有群よりも有意に得点が高かった。
本研究の結果から,恋愛に関するリスク認知項目において,十分な内的一貫性が確認された。