[PH41] 大学生の友人関係スタイルおよび居場所感が学校適応感に及ぼす影響
Keywords:学校適応感、友人関係、居場所感
問題と目的
教育現場におけるいじめや不登校の問題には学校適応感が少なからず影響している。学校適応感に関する先行研究として,永井(2016)は大学生を対象とし,友人関係のとり方の特徴によって学校適応感に違いがあることを明らかにしている。また,谷渕(2015)は大学生を対象とし,場面によって居場所感と学校適応感との関連が異なることを明らかにしている。谷渕(2015)に用いられた居場所感尺度には,他者との関係性を表す項目が含まれているが,大学環境における他者とは主に友人を指していると考えられる。これらを踏まえると,大学環境への適応を検討するには,場所を考慮した居場所感と友人関係スタイルとを組み合わせた視点を取り入れることが必要だといえる。
そこで本研究では,大学生の友人関係スタイルと居場所感を群分けし,学校適応感に及ぼす影響について検討することを目的とする。
方 法
参加者 大学生85名(男性42名,女性43名)。
質問項目 大久保(2005)の青年用の学校への適応感尺度20項目。永井(2016)の友人関係尺度20項目。谷渕(2015)の居場所感尺度34項目を参考にした21項目。居場所感尺度については「大学生活での空きコマの時間や休み時間でよく過ごす場所」,「授業以外で学習するときによく過ごす場所」,「部活動,サークル活動等課外活動でよく過ごす場所」の3つの場所を設定した。各変数は5件法(1:全くあてはまらない,2:あまり当てはまらない,3:どちらともいえない,4:少しあてはまる,5:よく当てはまる)で回答を求めた。
結果と考察
信頼性の検討 学校適応感尺度は「居心地の良さの感覚」(α=.88),「被信頼・受容感」(α=.84),「劣等感の無さ」(α=.71),「課題存在」(α=.68)の4因子。友人関係尺度は「干渉回避」(α=.72),「自己開示」(α=.82),「評価懸念」(α=.68),「配慮・気遣い」(α=.72)の4因子。居場所感尺度は「精神的安定」(α=.88),「行動の自由」(α=.79),「自己肯定感」(α=.82),「本来感」(α=.82),「他者からの自由」(α=.63),「思考内省」(α=.73)の6因子。
クラスター分析 友人関係スタイルと居場所感について群分けを行うため,それぞれクラスター分析(ユークリッド平方距離,ward法)を行った。友人関係スタイルは「自己中心外向型」,「他者配慮内向型」の2群に分類,居場所感は「課外活動場面居場所H群」,「学習場面居場所H群」,「居場所H群」の3群に分類した場合に,一定の解釈が可能であった。
分散分析 友人関係スタイルおよび居場所感群を独立変数とし,学校適応感4因子それぞれについて2要因分散分析を行った。主な結果として,被信頼・受容感因子で,居場所感群の主効果が有意(F(2,79)=4.33,p<.05,η2=.09)であった。多重比較を行った結果,居場所H群は他の2群に比べて得点が高かった。また,友人関係スタイルと居場所感群における交互作用も有意(F(2,79)=5.57,p<.01,η2=.11)であった。単純主効果の検定を行ったところ,課外活動場面居場所H群における友人関係スタイル群の単純主効果(F(1,79)=7.77,p<.01,η2=.08)が有意であり,自己中心外向型の方が他者配慮内向型よりも被信頼・受容感因子の得点が高かった。自己中心外向型における居場所感群の単純主効果(F(2,79)=3.18,p<.05,η2=.06),他者配慮内向型における単純主効果(F(2,79)=7.19,p<.01,η2=.15)も有意であったため,それぞれ多重比較を行った。その結果,自己中心外向型では有意差が見られず,他者配慮内向型では課外活動場面居場所H群が他の2群に比べて被信頼・受容感因子の得点が低かった。
本研究の結果から,友人関係スタイルや居場所感の組み合わせで,学校適応感に違いがあることが明らかになった。
教育現場におけるいじめや不登校の問題には学校適応感が少なからず影響している。学校適応感に関する先行研究として,永井(2016)は大学生を対象とし,友人関係のとり方の特徴によって学校適応感に違いがあることを明らかにしている。また,谷渕(2015)は大学生を対象とし,場面によって居場所感と学校適応感との関連が異なることを明らかにしている。谷渕(2015)に用いられた居場所感尺度には,他者との関係性を表す項目が含まれているが,大学環境における他者とは主に友人を指していると考えられる。これらを踏まえると,大学環境への適応を検討するには,場所を考慮した居場所感と友人関係スタイルとを組み合わせた視点を取り入れることが必要だといえる。
そこで本研究では,大学生の友人関係スタイルと居場所感を群分けし,学校適応感に及ぼす影響について検討することを目的とする。
方 法
参加者 大学生85名(男性42名,女性43名)。
質問項目 大久保(2005)の青年用の学校への適応感尺度20項目。永井(2016)の友人関係尺度20項目。谷渕(2015)の居場所感尺度34項目を参考にした21項目。居場所感尺度については「大学生活での空きコマの時間や休み時間でよく過ごす場所」,「授業以外で学習するときによく過ごす場所」,「部活動,サークル活動等課外活動でよく過ごす場所」の3つの場所を設定した。各変数は5件法(1:全くあてはまらない,2:あまり当てはまらない,3:どちらともいえない,4:少しあてはまる,5:よく当てはまる)で回答を求めた。
結果と考察
信頼性の検討 学校適応感尺度は「居心地の良さの感覚」(α=.88),「被信頼・受容感」(α=.84),「劣等感の無さ」(α=.71),「課題存在」(α=.68)の4因子。友人関係尺度は「干渉回避」(α=.72),「自己開示」(α=.82),「評価懸念」(α=.68),「配慮・気遣い」(α=.72)の4因子。居場所感尺度は「精神的安定」(α=.88),「行動の自由」(α=.79),「自己肯定感」(α=.82),「本来感」(α=.82),「他者からの自由」(α=.63),「思考内省」(α=.73)の6因子。
クラスター分析 友人関係スタイルと居場所感について群分けを行うため,それぞれクラスター分析(ユークリッド平方距離,ward法)を行った。友人関係スタイルは「自己中心外向型」,「他者配慮内向型」の2群に分類,居場所感は「課外活動場面居場所H群」,「学習場面居場所H群」,「居場所H群」の3群に分類した場合に,一定の解釈が可能であった。
分散分析 友人関係スタイルおよび居場所感群を独立変数とし,学校適応感4因子それぞれについて2要因分散分析を行った。主な結果として,被信頼・受容感因子で,居場所感群の主効果が有意(F(2,79)=4.33,p<.05,η2=.09)であった。多重比較を行った結果,居場所H群は他の2群に比べて得点が高かった。また,友人関係スタイルと居場所感群における交互作用も有意(F(2,79)=5.57,p<.01,η2=.11)であった。単純主効果の検定を行ったところ,課外活動場面居場所H群における友人関係スタイル群の単純主効果(F(1,79)=7.77,p<.01,η2=.08)が有意であり,自己中心外向型の方が他者配慮内向型よりも被信頼・受容感因子の得点が高かった。自己中心外向型における居場所感群の単純主効果(F(2,79)=3.18,p<.05,η2=.06),他者配慮内向型における単純主効果(F(2,79)=7.19,p<.01,η2=.15)も有意であったため,それぞれ多重比較を行った。その結果,自己中心外向型では有意差が見られず,他者配慮内向型では課外活動場面居場所H群が他の2群に比べて被信頼・受容感因子の得点が低かった。
本研究の結果から,友人関係スタイルや居場所感の組み合わせで,学校適応感に違いがあることが明らかになった。