日本教育心理学会第61回総会

講演情報

ポスター発表

[PH] ポスター発表 PH(01-65)

2019年9月16日(月) 13:00 〜 15:00 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号13:00~14:00
偶数番号14:00~15:00

[PH58] 校内授業研究における教師の知識ネットワーク

公立小学校における事例分析

有井優太 (東京大学大学院)

キーワード:校内授業研究、ネットワーク、リーダー

問題と目的
 本研究の目的は校内授業研究における教師の知識ネットワークの構造を明らかにすることである。校内授業研究における協働は教師の学習にとって効果的であることが示されている(e.g.,秋田, 2009)。しかし,校内授業研究において教師たちはどのようなネットワークを持つことで学校内において知を交流しているのかは検討されてきていない。
 そこで本研究では,校内授業研究における教師の知識ネットワークを明らかにするために,質問紙調査よるネットワーク分析とその結果を基にしたインタビュー調査を実施した。
方  法
研究協力者:公立小学校の教師27名(管理職を除く全員)に対し質問紙調査を実施。その結果を基に,10名(校長含む)に対しインタビュー調査を実施。本校は,校内授業研究を長期間にわたって熱心に取り組んでおり,8教科部会(国語,算数,社会,理科,図工,体育,道徳,特支)を立ち上げ組織的に取り組みを進めている。
調査内容:①質問紙調査(A,自身の所属する部会の教科に関して誰によく相談に行くか。B,日常の授業に関して誰によく相談に行くか)。質問紙調査においては,本校における校内授業研究においてという条件のもと上記の質問によってネットワークを調査した。また,それぞれに対し,「1.年に数回」~「6.ほとんど毎日」の6件法によりアクセス頻度も尋ねた。②インタビューでは,質問紙における調査を基に,具体的にそれぞれどのようなことを相談しに行っているのかを尋ねた。
結果と考察
教師の情報源
 校内授業研究における教師の情報源として,管理職,研究部,同じ教科部会の教師,他校の助言者,以前の同僚,同じ学年団,学校外の民間教育研究団体の存在を明らかにすることができた。この結果は,持続的な校内授業研究を支えてきた要因として,学校内だけではなく,学校外にもネットワークがつながっていることの重要性を示唆していると考えられる。また,教科部会だけではなく,学年間の協働も盛んに行われていることから,部会と学年において知が交流され,校内授業研究と各教師の日常の授業との関係が示唆されている。
各リーダーやコミュニティに求められる役割
 校内授業研究において教師は,同じ学校内の教師に対しては具体的な子どもの姿を基にした授業をどのようにデザインすればよいかという助言を求めるのに対し,学校外のコミュニティ等には教科の専門的なことに関して助言を求めていることが明らかとなった。このことから,校内における話し合いでは,教科の専門的な知をいかに具体的な子どもと繋げて議論できるかが重要であることが考えられる。