日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(発達)

[P] ポスター発表(発達): P001-P054

2020年9月19日~21日

[P021] 保育カンファレンスにおける保育者の専門性向上に関する研究(2)

保育者の専門性向上を促す要因に着目して

小松 和佳1, 井上 弥2 (1.広島大学大学院, 2.広島大学)

Keywords:保育者の専門性、保育カンファレンス、言葉の相互共有

本研究の目的は,小松(2019)が明らかにした保育カンファレンスにおける保育者の専門性向上の要因を踏まえた保育カンファレンスを実施し,保育者の専門性向上プロセスを検証することであった。保育カンファレンスにおける保育者の専門性向上の要因とは,保育者が自身の課題や悩みを開示し,他の保育者へ問いかけること,共感的に受け止められたと捉えることができるように,保育者自身の経験を踏まえ問いかけ,提案を行うことである(小松,2019)。これらの要因を踏まえた保育カンファレンスにおいて,他の保育者は,保育者Aに対して,保育実践について問いかける発話を行っていた。また,子どもへの対応の難しさを表出する発話を行ったり,相槌をしたり,保育実践を認める発話を行ったりしていた。これらの発話を受けた保育者Aは,自身の課題や戸惑いの気持ちを開示した後,自身への提案の発話を相互共有することにより,保育の枠組みの捉え直しを通して保育者の専門性を向上させていた。これらのことから,保育カンファレンスにおける他の保育者への問いかけや,保育者自身の課題の開示,また,共感的な言葉がけは,保育者同士の言葉の相互共有の契機となり,保育者の保育の枠組みの捉え直しを促すことが示された。