日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(発達)

[P] ポスター発表(発達): P001-P054

2020年9月19日~21日

[P026] 大学生の所属サークル・部活動に対する認知がアイデンティティの実感としての充実感に与える影響

親密性に着目して

関 大也1, 河村 茂雄2 (1.早稲田大学大学院, 2.早稲田大学)

Keywords:サークル・コミットメント、アイデンティティ、親密性

Erikson(1959)の漸成発達理論に,溝上(2008)の見解も加味すると,大学生が「アイデンティティ対アイデンティティ拡散」の危機を乗り越え,「親密対孤立」の危機と対峙するためには,「役割実験」を通じた自分を試す作業が必要であり,その作業の場としてサークル活動や部活動も機能し得る可能性が理論面で示唆される。大野(1984)は,アイデンティティの各側面としての自立・自信,連帯(初期成人期における「親密対孤立」の心理・社会的危機に対応),信頼・時間的展望を青年が持つ場合に充実感を覚えると述べており,山田(2004)や溝上・中間・畑野(2016)を加味すると,大学生がサークル活動において活動への肯定的な認知的評価を行い,充実感を抱くことは,親密性の発達と関連することが示唆される。調査結果から,サークル集団をやめたくても,それが困難であるという状況への認知が控えめなメンバーの方が,本人の選んだ重要な他者との関わりを重んじ,親密性を発達させていると解釈され得る。