日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(発達)

[P] ポスター発表(発達): P001-P054

2020年9月19日~21日

[P037] 保育実習前後における学生の保育省察力と批判的思考,道徳的不活性化の変容

利根川 智子1, 首藤 敏元2, 樟本 千里3 (1.東北福祉大学, 2.埼玉大学, 3.岡山県立大学)

Keywords:保育者省察力、批判的思考、道徳的不活性化

保育者養成教育では学生の保育観,省察力,子ども観,価値観をより適切なものへ変容させることが求められる。本研究は,保育者省察力と,批判的思考態度,道徳的不活性化(認知の歪み)について,保育実習前後における変化を検討することを目的とした。その結果,①保育者省察尺度は,実習前よりも実習後の方が有意に高く,②クラスター分析により省察力の個人差は,若干の深化が認められるクラスター(小群),低下したクラスター(混乱群),大きく深化したクラスター(高群)が認められ,③批判的思考態度の変化については省察力深化小群と高群で思考の自覚・探究心・客観性が有意に実習事後の方が高く,④省察力の変化と道徳的不活性化については実習前後の主効果のみ有意であった。実習による省察力の変化は批判的思考態度を向上させたものの,道徳的な認知の歪みの変容には内省的,複眼的に保育経験を積み重ねることが必要になると考えられる。