日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(発達)

[P] ポスター発表(発達): P001-P054

2020年9月19日~21日

[P049] スクール・エンゲージメントと身近な対人関係の関連

中高生の違いに注目して

吉武 尚美 (順天堂大学)

Keywords:スクール・エンゲージメント、対人関係、多母集団分析

学習活動や学校生活への意欲低下防止策として,スクール・エンゲージメントという概念が注目されている。Fredricks et al.,(2004)は,行動(学業や社会活動への積極的関与),情緒(学校所属感,充実感),認知(自己調整学習,学習習慣)の3側面で構成されると定義する。本研究は,スクール・エンゲージメントが親・友人・教師との関係性に影響を受け,学業成績や心身の健康に影響するというモデルの妥当性を検討した。関東県内の公立学校で質問紙調査を実施した(中学n= 1616;高校n = 1409)。多母集団パス解析の結果,一部のパスの強さに有意な違いが見られた。例えば,母親との葛藤関係と行動面での意欲の関連は高校生の方が強く,行動面での意欲と学業成績との関連は中学生の方が強かった。本研究により,スクール・エンゲージメントが心理社会的適応にポジティブに関連することが示され,学校段階に応じて誰とのどのような関係を注視するべきかが明らかとなった。