日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(教授・学習・認知)

[P] ポスター発表(教授・学習・認知): P055-P188

2020年9月19日~21日

[P062] 日本語非母語話者による随筆テクストの読み

テクストの特性と読みの質について考える

李 榮, 山方 純子 (神田外語大学)

Keywords:随筆テクスト、日本語非母語話者の読解、テクスト特性

日本語非母語話者(大学院生)を対象に,随筆テクスト読後の筆記再生課題文の分析から,読みの質を調べた。本発表では,全7名中,再生率に開きがある3名(低い順にA・B・C)について報告する。テクストは,筆者が自分の生活や思いを述べ,「食は生きることそのものである」という意見を綴った文章で,「随筆」に該当する(佐藤・有田,2014参照)。分析の結果,「筆者の内面」は全員読み取っていたが,再生率の低い学生Aは,その他の情報は殆ど言及しておらず,情報間の繋がりが把握できないまま,断片的な理解に留まっていた。「筆者の内面」を述べる際の前提となる情報は,学生B・C共に触れていたが,「筆者の意見・考察」が読み取れていたのは再生率の高い学生Cのみだった。随筆の形式は定型化されていないため,テクスト内の情報間の関係やテクスト全体の構造の把握が,正確な内容理解により多くの影響を及ぼす可能性があることが示唆される。