日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(教授・学習・認知)

[P] ポスター発表(教授・学習・認知): P055-P188

2020年9月19日~21日

[P123] 大学生の割合文章題第3用法の解決にみられる演算選択

見積もりおよび制限的乗法・除法観との関連

佐藤 誠子 (石巻専修大学)

Keywords:割合、問題解決、大学生

割合文章題解決の困難さは多くの研究で指摘されており,とりわけ第3用法(基準量=比較量÷割合)による解決が求められる問題では正答率が低い傾向にある。そこでは誤って「比較量×割合」とする演算が多くみられ,小野寺(1988)はその要因として,「乗法は答えを大きくする操作である」「除法は答えを小さくする操作である」とする暗黙的知識(制限的乗法・除法観)があることを示している。ただし,そこには演算結果が見積もり(答えは比較量より大)に沿うように演算を選択するはずだとする前提がある。本研究では,大学生を対象とした調査から,割合文章題第3用法における演算選択とその答えの見積もりとの間にそもそも整合性はみられるか,また制限的乗法・除法観との関連がみられるかを検討した。その結果,見積もりに合致しない演算選択をした者が3割ほどみられ,また制限的乗法・除法観との関連もみられなかった。対象者の多くは場当たり的な思考をおこなっており,割合についての理解が構造化されていないことがうかがえた。