日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(教授・学習・認知)

[P] ポスター発表(教授・学習・認知): P055-P188

2020年9月19日~21日

[P156] 小学生の漢字学習の個別最適化に向けて(1)

定着状況と反復学習の関連

平林 ルミ, 高橋 麻衣子 (東京大学)

Keywords:漢字学習、個別最適化、定着

小学校の国語科において漢字学習は大きな割合を占める。漢字を何度も書く反復学習は現在でも漢字学習の主要な方法である。しかし,効果的な反復ができなかったり,反復しても定着しない子どもが存在することは,学習障害の子どもの存在や読み書きの困難がグラデーション状に存在することからも明らかである。そこで本研究では小学4年生の1クラス34名を対象に漢字の宿題を反復学習で行ったときの定着状況を明らかにするために,児童に漢字の宿題を出す前後に習得状況の調査を行った。さらに児童の中には,一時的に漢字が習得できていても,長期的にはそれが難しい場合があるため,長期的な漢字の定着状況を併せて調査した。調査の結果,宿題を行う前の段階でその漢字が習得済みの児童が10%程度存在すること,宿題によって漢字の定着に効果が上がらない児童が15%程度存在すること,短期的には習得できているように見えても長期的に定着しない児童が5%程度存在することが明らかになった。結果から,長期的な定着状況をモニターし,漢字学習を個別最適化する必要があることが示唆される。