日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(教授・学習・認知)

[P] ポスター発表(教授・学習・認知): P055-P188

2020年9月19日~21日

[P157] 小学生の漢字学習の個別最適化に向けて(2)

定着状況と宿題にかかる時間の関連

高橋 麻衣子, 平林 ルミ (東京大学)

Keywords:漢字学習、宿題、インクルーシブ教育

児童の漢字の書き取り能力の習得は小学校国語科において重要なもののひとつであるが,その習得方法は反復学習によるところが大きい。しかし,学習障害等の学習上の困難をもつ児童の中には,書字の反復に時間がかかるばかりで習得の効果をもたない者も存在する。一方で,数多くの反復をせずともある程度の定着がみられる児童も存在し,漢字書き取りの学習やその宿題のやり方について今一度問い直す必要がある。そこで本研究では,漢字の書き取りの反復学習の宿題に費やされる時間が,漢字の習得にどのように影響するのかを明らかにすることを目的とする。小学4年生の1学級を対象として,教員と児童が漢字書き取りの宿題にどの程度の時間がかかるかを予想し,実際にかかった時間との比較を行った。また,宿題の前後のテスト成績との関連を検討したところ,宿題にかかった時間が,反復学習に効果がある学習者とほとんど効果が見られない学習者を見立てる手立てになる可能性が示された。