日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(教授・学習・認知)

[P] ポスター発表(教授・学習・認知): P055-P188

2020年9月19日~21日

[P182] 高校生の「構造方略を使用した説明文理解」は副教科の学業達成をも規定するか?

学習支援の場としての宗教科の可能性

山本 博樹1, 桑原 昭信2 (1.立命館大学, 2.龍谷大学)

Keywords:副教科、構造方略、説明文理解

高校段階での「構造方略を使用した説明文理解」の不振が主教科の学業不振を招くことが示されてきた(山本・織田,2020)。しかし,高校の授業は副教科からも構成されている。実際,日本の高校の約4割は私立であり,その約半数を占める宗教系高校では宗教科授業が実施されている。この授業は単純な形での「教科書重視」とは言い切れず,異なる影響が予想される。そこで,本研究では宗教科授業でも上記の影響が存在するかを構造方略が発達した高3を対象に検討した。パス解析より,宗教科授業では教科書・教材が長文から構成されているため,高3による「構造方略を使用した説明文理解」が宗教科の学業達成を規定するメカニズムが明らかになった。一方で,主教科でみられた影響メカニズムとの同型性から,この宗教科授業の中で「構造方略を使用した説明文理解」を支援すると,主教科の学業達成にまで効果が及ぶと予測でき,学習支援の場ともなる可能性が示された。