日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(教授・学習・認知)

[P] ポスター発表(教授・学習・認知): P055-P188

2020年9月19日~21日

[P188] 日中における授業中の筆記方略の違いとその背景要因

高校生を対象としたインタビュー調査より

劉 夢思 (東京大学大学院)

Keywords:筆記方略、比較研究、インタビュー

本研究では,日中学校現場における筆記方略の利用の違い,またそれを生み出す理由について併せて検討した。日本・中国における高校生10名ずつを対象とした半構造化インタビュー調査を実施し,カテゴリー分析を行った。その結果,授業中の筆記方略の利用については,「書く内容」と「書く工夫」という2つの側面から日中高校生のそれぞれの特徴が見えてきた。また両国において共通の問題点も確認された。一方,なぜ授業中に筆記方略をするのかについては,日中ともに〈目的〉,〈有効性の認知〉,〈環境要因〉,〈学習習慣〉という4つの側面が影響を与えていることが示唆された。特に,〈目的〉に両国で顕著な違いが見られた。以上の結果から,日中の両国で授業中の筆記方略の違い,またその違いの背景には目的の違いなどが存在していることが明らかとなった。ただし,今回の結果は日中10人ずつという少数のサンプルから得られたデータをもとに分析・解釈したものである。今後,より大規模な調査等を通じて日中高校生の利用実態やその背景要因をさらに検討する必要があると考えている。