[P267] 学級集団と児童理解のためのアセスメントツール(C-SCT)の開発(2)
Keywords:学級経営、学級集団と児童理解、文章完成法テスト
本研究では石井・品田・高橋(2019)の研究に引き続き,SCTを援用した質問紙調査である学級集団版文章完成法テスト(Classroom-Sentence Completion Test)を用いて学級集団をアセスメントし,個人の認知の変容について考察した。特徴的な認知の変容として,①「肯定的表現から否定的表現」②「否定的表現から肯定的表現」③「両価的表現の介在」④「不安定な変容」⑤「第三者的視点の獲得」の5つが考察された。①「肯定的表現から否定的表現」は,学校生活に対して次第に否定的な見方をみせてしまう場合である。②「否定的表現から肯定的表現」は,学級集団に対して不満を抱いていたものの,時期が経つにつれ見方を好転させる場合である。③「両価的表現の介在」は肯定的表現と否定的表現が混在した両価的表現から,ある一つ表現に移る場合である。④「不安定な変容」は年間を通じて表現の傾向が定まらない場合である。⑤「第三者的視点の獲得」は,自分の想いだけではなく,友人や集団など他者の視点が入る場合にみられる変容である。