日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(学校心理学)

[P] ポスター発表(学校心理学): P262-P325

2020年9月19日~21日

[P276] 「精神的充足・社会的適応力」評価尺度の縦断的活用の効果

精神的充足と心理的レジリエンスとの相互影響に関する検討

加藤 陽子, 綿井 雅康 (十文字学園女子大学)

Keywords:精神的充足、心理的レジリエンス、相互影響

「精神的充足・社会的適応力」評価尺度は,回答者が自身の結果を客観的に振り返り主体的に課題に取組むことで,精神的充足や社会適応力を向上させ,心理的なレジリエンスを高めることが示唆されている(綿井・加藤,2018)。ただし,これらは横断的な実証によるものであり,回答者への返却の効果をより詳細に検討するためには縦断的な活用による効果検討が必要であろう。そこで本研究では,中学校の同一学年に対して本評価尺度および心理的レジリエンスを2年間にわたり反復実施することにより,精神的充足・社会的適応力と心理的レジリエンスの間の関係性を検討し,向上・改善の因果関係を明らかにすることを目的とする。分析の結果,精神的充足と心理的レジリエンスについて,同一変数のパスが有意であったと同時に,2年次の「認められる体験」が3年次の「他者理解」を,2年次の「拡張意欲的活動性」,「楽観性」,「他者理解」が精神的充足を高めることが明らかにされた。また,社会的適応力と心理的レジリエンスにおいて,同一変数のパスが有意であったと同時に,2年次「伝える技術」と「自分をコントロール」は3年次の心理的レジリエンスに関与していることが示された。