[P288] 動画教材提示での方向付けが集中度を高めることの功罪
AD/HDの注意力向上が記憶内容を限定する可能性
キーワード:注意の方向付け、障害理解、記憶の選別
不注意優勢型のAD/HDの場合,授業での動画教材の提示に際して,同時並行的に入力される多くの刺激に気を取られてしまい,本筋を見失ってしまう可能性が高い。この対応策としては,提示前に筋の概要を説明することが推奨されている。しかしこれには,視聴内容を予め制限しすぎてしまう危険性もある。事前説明の有無・質問の主と副・2回視聴の事前事後の3条件を設け,それぞれの成績を比較して,方向付けの効果を実験的に検討した。説明有群では,主質問の成績が有意に向上したが,副質問には見落としが多かった。説明無群の事前成績は低かったが,事後質問では説明有群との間に差は無くなった。教材提示では,含まれる内容の多様な受け止めを保障する説明方法について,指導者は意識的であることが求められる。