日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(学校心理学)

[P] ポスター発表(学校心理学): P262-P325

2020年9月19日~21日

[P293] 人間関係が固定化する小規模校に必要な社会的スキルの育成

高橋 誠1, 吉澤 寛之2 (1.揖斐川町立谷汲小学校, 2.岐阜大学)

Keywords:関係流動性、社会性、小規模校

日本の人口減少に起因する小規模校の課題として,人間関係の固定化により,子どもの社会性が育ちにくいことが報告されている。本研究では,先行研究において効果の確認されたプログラムを参考とし,仲間との関係が固定化された小規模小学校における児童の社会性を育成する学校規模のカリキュラムを開発した。カリキュラムは1小学校から1中学校に進級する山間地域にある小規模小学校で実践された。カリキュラムの効果は,実践を行った小学校と同じ町内で環境の類似する複数の小学校と,関係流動性の高い環境の異なる1小学校を比較対象として検証した。その結果,関係流動性の高い地域に属する小学校では,多様な友人と触れ合う機会がある生態学的環境にあるため,「人間関係形成」や「自己制御」「共感性」が高まった。反対に,町内の他の小学校では,固定された友人関係での生活により,それらの能力が低くなった。実践対象校は同じ町内に属するものの,同じ指標に変化がなかった。開発されたカリキュラムの実践により,関係流動性の低い児童の能力の低下が抑制されたと解釈された。