[P297] 中国の経済状況が困難な地域で暮らす子どもに対するレジリエンス育成プログラムの効果
キーワード:レジリエンス
本研究は中国の経済状況が困難な地域で暮らす子ども計244名(男子123名, 女子121名)を対象とし, 感情調整力と共感力から構成される「ABC分析スキル」を対象のレジリエンススキルとしたプログラムを集団で実施し,その介入効果を検討した。効果測定に関しては,青少年レジリエンス尺度(胡・甘, 2008)の下位尺度である「感情調整」の6項目,対人反応性尺度(張・董・汪・セン・謝, 2010)の認知的側面である「ファンタジー」「他者視点取得」の11項目,及びストレス反応尺度(蔡, 2010)「抑うつ」「敵意」「身体化」「不安」の4因子57項目を授業前と授業後にそれぞれ測定した。その結果,介入前に比べて,介入後の感情調整得点は有意に高い傾向を示しており(t(213)=1.69,p<.10),他者視点取得得点は有意に高かった(t(213)=2.82, p<.01)。また,介入前に比べ,介入後の抑うつ(t(213)=2.33, p<.05)と不安(t(213)=4.50, p<.001)は有意に低かった。よって,本プログラムは子どものレジリエンスを育成し,精神的健康度を高める効果があることが明らかになった。