[P311] 学校所属感および欠席行動に対する対人関係変数間の交互作用
PISA2015データの分析を通して
キーワード:学校適応、学校所属感、いじめ
本研究は学校適応に対して,親の情緒的サポート,学校内教師の不公平,学校でのいじめ被害といった対人関係変数の横断的効果,特に変数間の交互作用について検討した。PISA2015のデータを利用し,6647人の高校1年生を分析対象とした。学校適応の指標に,学校所属感と無断欠席回数を使用し,それぞれ重回帰分析とポアソン回帰分析を行った。分析の結果,学校所属感と無断欠席に共通して,教師の不公平と学校でのいじめ被害の交互作用が有意であった(それぞれb = -0.082, b = 0.015, p<.001 )。いじめを受けている生徒は教師からも不公平に扱われるほど,学校での居心地が悪く欠席が多いことが考えられる。逆に言えばいじめを受ける生徒に対して教師は公平に対応していれば,学校所属感と無断欠席への悪影響を緩衝できるとも考えられる。また学校所属感と無断欠席に一貫して,親のサポートは学校内の教師の不公平あるいはいじめとの交互作用が有意ではなく,緩衝要因にならないことが示唆された。