[P312] いじめ被害者への有責性認知の非意識的側面を測定するIAT作成の試み その2
妥当性の検討
キーワード:いじめ、被害者への有責性認知、潜在連合テスト
堀・小山・福井(2020)は,いじめ被害者への有責性認知の非意識的側面を測定する潜在連合テスト(Implicit Association Test)を作成し,その内的一貫性と再検査信頼性を検討したが,妥当性については未検討であった。そのため,本研究では,いじめ被害者への有責性認知の意識的側面(被害者と加害者の責任割合の聴取)や向社会的サイバーボール課題の被排斥者へのパス回数,いじめを容認する態度との相関を見ることで妥当性を検討した。その結果,いじめ被害者への有責性認知の非意識的側面は,意識的側面や,行動指標である被排斥者へのパス回数と無相関であったのに対して,いじめ容認態度の下位概念であるいじめ軽視と有意傾向の,いじめ撲滅行動やいじめ絶対悪と有意な相関をそれぞれ示した。いじめ被害者への有責性認知の非意識的側面がパス回数を予測できなかったことについて,二重分離説(Perugini, et al., 2010)に基づいて,半ば意識的に被排斥者にパスすべきか否かが判断されていたためであると考察された。