128th JGS: 2021

Presentation information

Oral

R5 [Regular Session]Regional geology and stratigraphy, chronostratigraphy

[1ch412-16] R5 [Regular Session]Regional geology and stratigraphy, chronostratigraphy

Sat. Sep 4, 2021 1:00 PM - 2:15 PM ch4 (ch4)

Chiar:Daisuke Sato, Tomonori Naya

1:00 PM - 1:15 PM

[R5-O-1] Heavy mineral assemblage of river sands along the Brahmaputra River, eastern India

*Kohki Yoshida1,4, Subhadeep Kumar2, Lalit Kumar Rai3, Tomoyuki Hakiai1 (1. Faculty of Science, Shinshu University, 2. Department of Geology, Presidency University, 3. Graduate School of Medicine, Science and Technology, Shinshu University, 4. Institute of Science, Shinshu University)

Keywords:Late Cenozoic, Himalaya, Bengal Fan, Heavy mineral

【はじめに】
 ベンガルファンはインド洋北部のベンガル湾に位置し,ヒマラヤ山脈からの砕屑物によって形成された.現在,この海底扇状地はヒマラヤ山脈南部のガンジス平原を東流するGanges川と,ヒマラヤ山脈の背後に源を発し、ヒマラヤ山脈東端を横切った後、ガンジス平原を西流するBrahmaputra川による供給を受けている.バングラデッシュ北部で両河川は合流してベンガル湾岸に達する.そのため,両河川が運搬する砕屑物の性質は,ベンガルファン堆積物の理解のために不可欠である.これまで,Ganges川支流である中央ネパールのKali Gandaki川においてヒマラヤ山脈の地質体が生産する現世河川砕屑物の組成について検討を行った(吉田ほか,2019).今年度はBrahmaputra川の上流部と下流部の砕屑物組成を検討し,その起源となる地質体を議論し,ベンガルファン堆積物との関連を検討した.
 ヒマラヤ山脈の北側を東へ流れるShang川はインド北東部でヒマラヤ山脈を縦断して南下し,ビルマ山脈西麓に由来する河川(Diban 川,Lo Hit 川, Noa Dihing River 川)と合流して,Brahmaputra川となる.Brahmaputra川はガンジス平原を西側へ流れ,バングラデシュ北部でGanges川と合流する.この検討では,これらの河川およびバングラデシュ北部のBrahmaputra川下流で現世河床堆積物を採取し,その重鉱物組成について検討した.また,角閃石やザクロ石については化学組成を検討した.試料調製にあたっては,細粒砂サイズに粒度をそろえた上で重液を用いて重鉱物を分離した.重鉱物の同定は主に電子マイクロプローブを用いて行い,アルミノケイ酸塩については偏光顕微鏡を用いた.
【Brahmaputra川上流・下流における川砂の重鉱物組み合わせ】
Shang :角閃石,ザクロ石,普通輝石,緑れん石が卓越するが,電気石,ルチル,藍晶石,珪線石,イルメナイトが普遍的に含まれる.ザクロ石はパイロープ成分を含むアルマンディンザクロ石が多い.角閃石はAlやTiに富むものが多いものの,多様である.
Lo Hit 川,Diban :角閃石と緑れん石が卓越し,ルチル,藍晶石,珪線石が含まれる角閃石のAlやTiは多様である.ザクロ石はパイロープ成分に富むアルマンディンが多い.
Noa Dihing 川:角閃石,緑れん石,ザクロ石が多く,ルチル,藍晶石,珪線石が含まれる.ザクロ石はパイロープ成分に富む.角閃石はAl, Tiに富む.
Brahmaputra 川下流:角閃石が卓越し,緑れん石,ザクロ石が次ぐ.ザクロ石はパイロープ成分を含むアルマンディンザクロ石が多い.角閃石はAlやTiに富むものが多い.
【議論:ブラマプトラ川における川砂の特徴】
 吉田ほか(2019)では高ヒマラヤ帯が輝石やAl, Tiに富む角閃石を生産すること,テチスヒマラヤ帯や低ヒマラヤ帯がイルメナイトを砕屑することを示した.この観点から,ビルマ山脈西麓に源を発する河川の河床堆積物はそれぞれ類似し,Al, Tiに富む角閃石を含むことから高ヒマラヤ帯起源の砕屑物が卓越すると推定される.一方,Shang 川では特徴的にイルメナイトが含まれるため,テチスヒマラヤ帯や低ヒマラヤ帯が寄与していると言える.また,Brahmaputra川上流と下流での重鉱物組み合わせは共に角閃石と緑れん石の卓越で特徴付けられるため,明瞭な差異は見いだせない.
 他方,ベンガルファンの鮮新統・第四系では角閃石と緑れん石の卓越が特徴的であり,今日のBrahmaputra川のそれによく類似している.今後,Ganges川下流の試料を採取し,比較を行う必要がある.
【引用文献】
吉田孝紀・中嶋 徹・Lalit Kumar Rai・増田麻子,2019,中央ネパール・カリガンダキ川における川砂重鉱物構成.日本地質学会学術大会講演要旨 2019, 473.