4:30 PM - 7:00 PM
[R2-P-5] Carbonatite metasomatism in Natash mantle xenoliths from the cretaceous rift-related volcanics in the southern part of the Eastern Desert of Egypt
Keywords:mantle metasomatism, Natash mantle xenoliths, Continental rift, Carbonatite
エジプト東部沙漠地方南部のワディ・ナタッシュ地域にある地溝帯アルカリ玄武岩中に、激しく炭酸塩岩化したマントル捕獲岩が発見された。かんらん石と直方輝石の大部分が炭酸塩や石英に置換されているが、その微細組織と初生鉱物の化学的特徴から、これらが斜長石を含まないスピネルかんらん岩(レルゾライト〜ハルツバージャイト)であることがわかった。Cr-spinelのCr#とMg#はそれぞれ0.06〜0.45、0.73〜0.81である。Cr-spinelのCr#とMg#の間には弱い負の相関がある。 直方輝石および単斜輝石の化学組成は,それぞれエンスタタイトおよびクロムディオプサイドの組成を示し,単斜輝石のTiO2含有量は、メルトの貫入を受けていない海洋底かんらん岩よりもわずかに高い。単斜輝石のNa2O含有量(>1.0 wt%)とAl(VI)/Al(IV)比(1.2-2.6)は大陸下のリソスフェリック・マントル起源であることを強く示唆している。 両輝石鉱物温度計を用いた平衡温度は約900℃で,これは他の地溝帯からの通常のスピネルかんらん岩捕獲岩の温度よりもわずかに低いことから、これらの試料が、海洋底かんらん岩よりも高い圧力下でマントルプロセス(減圧融解、マグマ上昇、交代作用など)を経験したことを示している。単斜輝石の微量元素化学的性質は、高いLREE/HREE比{(Ce/Yb)n=7}、高いLREE含有量(3.6ppm~30.0ppmのCe)、85.6ppm以上466ppm以下の高いSrなどは、典型的なマントル交代作用の特徴を示している。 また、非常に低いTi/Euと高いLREE/HREE比{>(Ce/Yb)nが3-4},Ti/Eu比が1500より低い単斜輝石は,母岩である玄武岩に取り込まれる前に,炭酸塩または炭酸塩に富むメルトによる交代作用を受けた可能性がある。 玄武岩は殆ど炭酸塩岩化していないことから、研究対象となったマントルカンラン岩は玄武岩マグマの生成前に炭酸塩岩化したと考えられる。しかし、フロゴパイトの存在が示すとおり、K-交代作用より以前に炭酸塩岩化が起こったと考えられる。ワディ・ナタッシュ地域のかんらん岩は、地溝帯拡大の段階で炭酸塩に富むメルトによって変質したものである。本論文の結果は、ナタッシュ玄武岩がマントルかんらん岩の捕獲岩を伴って、エジプト東部沙漠地方南部の西端に位置するヌクラ-コム-オンボ-カリット大陸リフティングに伴う割れ目に沿って押し出されたことを示唆している。