128th JGS: 2021

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R4 [Regular Session]Metamorphic rocks and tectonics

[1poster21-29] R4 [Regular Session]Metamorphic rocks and tectonics

Sat. Sep 4, 2021 4:30 PM - 7:00 PM poster (poster)

4:30 PM - 7:00 PM

[R4-P-9] Calculation of diffusion profiles using the analytical solution for anisotropic diffusion in a finite cylinder

*Tadashi Usuki1 (1. Department of Geosciences, National Taiwan University)

Keywords:diffusion in a finite cylinder, anisotropic diffusion, analytical solution, rutile, zirconium

岩石学や構造地質学、同位体年代学の進歩とともに、従来考えられてきたいくつかの造山イベントの時間スケールは一桁以上短くなった(例えば>20Myrから<2Myrへ、Caddick et al., 2010)。さらに最近では、Sm-NdやLu-Hf高精度年 代測定により、沈み込み帯でのザクロ石成長が1Myr以内に起こった例も示されている(Dragovic et al., 2012, 2015)。これらの事実は、数Myrから<1Myrの時間スケールを計測する技術の確立が重要になってきたことを示している。近年、同位体年代学を用いた時間スケールの推定とともに、diffusion chronometerを用いた時間スケールの計測が広く利用されるようになった (Chakraborty, 2006, 2008)。Diffusion chronometerが実用化されてきた背景として、ここ20年でさまざまな鉱物の主成分や微量成分拡散係数の実験データが充実してきたこと、EPMAやSEM-EDS, LA-ICPMS、SIMSを用いた主要元素や微量元素拡散プロファイル測定の解像度と精 度の向上がしてきたことなどが挙げられる。 Crank (1975)には板、球、無限円筒についての拡散方程式の解が示されている。拡散に異方性がなければ、これらの解析解を用いて、測定プロ ファイルからおおよその変成作用の継続時間を比較的簡単に推定することができる。しかし、一般の多くの鉱物では強い拡散異方性があることが知られている。例えば、カンラン石のFe-Mg相互拡散ではc軸方向の拡散はa軸、b軸の方向の拡散の約6倍(Tachibana et al., 2013)、ルチルのHf拡散ではc軸方向の拡散は垂直方向の拡散の5倍から10倍の違いがある(Cherniak et al., 2007)。このような鉱物に球モデルや板モデルを適用するのは一般には不適切である。このため、Watson et al. (2010)はaxialとradial方向について異なる拡散係数もつ場合の有限円筒内の拡散の解析解を導いた。Watson et al. (2010)の解析解では拡散係数を時間依存の関数としているが、本発表では単純化して定数とし、さらに、初期条件C0、境界条件C1の場合に変形した式を紹介する。この有限円筒内の解析解を用いると、axial方向(c軸に平行)とradial方向(c軸に垂直)の2つの異なる拡散係数を用いて円筒内の任意の方向の拡散プロファイルを計算できる。 本発表では、この有限円筒内拡散の解析解をもちいて、結晶の短軸・長軸比や拡散異方性の大きさの違い、測定プロファイル方向とc軸とのなす角が拡散プロファイルに与える影響についての計算結果を紹介する。また、この解析解の天然の岩石への適用例として、北ベトナムのソンマ縫合帯からのルチルのZrプログレード累帯構造を用いてエクロジャイト相の時間スケールを制約した研究を紹介する。

References
Caddick MJ, Konopásek J, Thompson AB (2010) J Petrol 51, 2327–2347. Chakraborty S (2006) Mineralogy and Petrology 88, 7-27. Chakraborty S (2008) Ann Rev. Earth Planet Sci 36, 153–190. Cherniak DJ, Manchester JE, and Watson E (2007) Earth Planet. Sci. Lett. 261, 267–279. Crank, J (1975) The Mathematics of Diffusion. Oxford University Press, Oxford. Dragovic B, Samanta LM, Baxter EF, Selverstone J (2012) Chem Geol 314–317, 9–22. Dragovic B, Baxter EF, Caddick MJ (2015) Earth Planet Sci Lett 413, 111–122. Tachibana S, Tamada S, Kawasaki H, Ozawa K, Nagahara H (2013) Phys Chem Minerals 40, 511–519. Watson, EB, Wanser, KH, Farley, KA (2010) Geochimica et Cosmochimica Acta 74, 614-633.