128th JGS: 2021

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R7 [Regular Session]Cenozoic geological records of Japan

[1poster40-42] R7 [Regular Session]Cenozoic geological records of Japan

Sat. Sep 4, 2021 4:30 PM - 7:00 PM poster (poster)

4:30 PM - 7:00 PM

[R7-P-2] (entry) Reconstruction of paleoenvironment of Miocene volcaniclastic rocks and clastic rocks in the northern part of hyogo, San’in Kaigan Geopark, based on facies analysis and Zircon fission-track and U-Pb ages

*Noritaka Matsubara1, Suzuka Kooriyama2, Kyohei Sano1, Toshiki Haji3, Tohru Danhara4, Takafumi Hirata5, Hideki Iwano4 (1. University of Hyogo, 2. Fossa Magna Museum , 3. AIST, 4. KYOTO FISSION-TRACK Co.Ltd, 5. The University of Tokyo)

Keywords:Hokutan Group, facies analysis, Zircon U-Pb ages, Fission-track ages, Miocene, Green tuff

京都府北西部から兵庫県北部,鳥取県北東部に位置する山陰海岸ジオパークのエリア内には広く中新統が分布している.特に,兵庫県北部を中心に分布する北但層群は日本海拡大開始~形成後までを記録した一連の地層からなり,日本海形成期のマグマティズムとテクトニクスを解明するうえで非常に重要な地層群である.従来,北但層群に関する地質学的研究は,一部を除いて層序学的なものに限られ(弘原海ほか,1966など),堆積環境や火山活動については十分に議論されず,その地質学的実態は未だ明らかにされていない.今回,兵庫県北部但馬御火浦(たじまみほのうら)~浜坂周辺に分布する北但層群八鹿層および豊岡層の砕屑岩類,溶岩類,火山砕屑岩類を対象に堆積相解析を行った結果,日本海拡大期に陸上環境から水中環境への変化があり,そこで陸上の火山と水中の火山が活動していたことが分かった.
<但馬御火浦~浜坂エリアに分布する北但層群の堆積相>
 岩相解析の結果,砕屑岩類は主に,斜交層理やトラフ型斜交層理が発達し,しばしば上方細粒化を示す河川堆積物,河川堆積物と挟在する土石流堆積物,塊状で局所的に分布する崖錐堆積物,しばしば炭質物を含み一部でコンボリュート層理が顕著な湖沼堆積物および浅海~内湾成堆積物からなり,一部で貝化石や材化石,根痕化石,足跡化石が認められる.崖錐堆積物の中にはほぼ花崗岩の角礫のみからなり,楔状に分布するものも認められる.断層活動に伴って形成されたものと判断した. 火山岩類は溶岩および岩脈・岩床として産する.溶岩は陸上噴出のものと水中噴出のものに分けられ側方及び上方で火山砕屑岩類へ遷移する. 火山砕屑岩類は大きく自破砕溶岩や原地生ハイアロクラスタイト,ペペライト,軽石流堆積物等の初生的なものと,一度定置した溶岩類や火山砕屑岩類が浸食・崩壊等の二次的要因により再移動し堆積した多源的なタービダイト,陸上土石流堆積物,水中土石流堆積物,粒子流堆積物などのエピクラスティックな重力流堆積物,さらにそれらが河川流によって移動再堆積した河川堆積物に分けられる.ハイアロクラスタイトの多くは単源的だがジグソーフィット構造が発達せず一部弱成層するタイプでしばしば偽枕状溶岩を含む.Yamagishi(1987)に従い,水冷自破砕した原地性ハイアロクラスタイトが水中土石流や乱泥流,粒子流となって移動,堆積した再堆積ハイアロクラスタイトと解釈した.軽石流堆積物中には偽礫として弱成層した砂岩泥岩互層が含まれることがある.これは,安定した水底下に軽石流堆積物が高エネルギーで流下することにより取り込まれたものと考えられる.シート状溶岩の間に認められる赤色に酸化し弱成層し一部斜交層理の認められる火山砂岩や不淘汰な火山礫凝灰岩は火山活動の間隙に堆積した河川堆積物やラハール堆積物であると考えられる.
<FT・U-Pb年代>
 兵庫県新温泉町浜坂周辺に分布する北但層群豊岡層の軽石流堆積物からジルコンを抽出し,FTとU-Pb年代測定を行った結果,それぞれ15.6±0.8Maと17.7±0.3Maを得た.羽地・山路(2019),羽地ほか(2019)は本調査地域の南方に分布する北但層群を対象に年代測定を行い,八鹿層上部で19.38±0.23MaのU-Pb年代を得た.また,豊岡層を覆う村岡層最下部をU-Pb年代とFT年代,豊岡層上部から算出する化石などに基づき16.5Ma頃とし,豊岡層を17~16.5Maに堆積したとした.今回の結果は概ねこれに近い値であり,豊岡層の堆積年代として矛盾しない.
<文献>
弘原海清ほか,1966,松下進教授記念論文集,105-116.  Yamagishi, H., 1987, Rept. Geol. Surv. Hokkaido, 59:55-117.
羽地 俊樹, 山路 敦,2019.地質学雑誌,125.9.685-698.
羽地 俊樹ほか,2019.地質学雑誌,125.12. 867-785.