4:30 PM - 7:00 PM
[R19-P-2] The subsurface geology and site amplification map in Azumino City, Nagano Pref.
Keywords:seismic hazard map, borehole log, geological model, weak ground, Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line active fault zone, Matsumoto-bonchi-toen fault
平成23年6月30日に長野県松本市の市街地で発生したM5.4の被害地震(630松本地震)から10年の間,我々は,松本盆地地域の地盤の調査を行ってきた.平成24・25年には松本市との共同事業1),平成26・27年の大町市との事業2)として両市の揺れやすさマップや地盤図などを作成したのに続き,平成30・31(令和元)年度は安曇野市との事業として揺れやすさマップや伏在断層分布図等を作成した3).
安曇野市は西から北アルプス,松本盆地,犀川丘陵にまたがり,盆地東縁部には松本盆地東縁断層(糸魚川-静岡構造線断層帯)が位置する.安曇野市が従来市民に配布していた揺れやすさマップは,長野県が平成27年に作成した「糸魚川-静岡構造線断層帯(全体)を震源とする地震」(想定M8.5)が発生した場合の震度分布図4)であった.この分布図は250mメッシュで,居住地域での揺れやすさは,ほぼ南北方方向の帯状区分(震度6強~5弱)であり,その土地の成り立ちや地質構成を反映した揺れやすさの差異は表現されていない.630松本地震の際,松本市では狭い範囲でも震度3~6強までの揺れが確認されており5),我々の作成した揺れやすさマップからも地盤の違いが揺れに反映されていることが明らかである.
揺れやすさは表層地盤による地震波の増幅率の違いで決まる(軟弱な地盤程揺れやすい).県の調査4)で使用された安曇野市のボーリングデータは333本であったが,我々は同地域でその4倍強の1364本のボーリングデータを収集した.データ数を増やしたことで,メッシュサイズは250mを基本としながら地形・地盤の複雑さに応じて125mメッシュにまで細分し,2サイズの混合の詳細な地盤モデルの作成が可能となった.揺れやすさマップは,特定の地震を想定せず,各メッシュに兵庫県南部地震(M7.3)相当の地震波を入力し算出された震度値を図化した.その際,震度階には変換せず,多段階の色調表現を採用しているのが特徴である.こう表現にすることによって,巨大地震では一様の揺れやすさに区分される地域の中にあっても,盆地直下のどこで起こるかわからない,中規模の地震の際に,より強く揺れる可能性のある地域(①~④)をあぶり出すことができた.地盤の違いによる揺れ方の違いを明示しておくことは防災・減災のうえで重要である.
以下に各地域の揺れを増幅する堆積物について述べる.
①松本盆地東縁の段丘上;犀川丘陵を起源とする多くの小規模な扇状地中にはN値10以下の砂~泥が10m以上堆積している部分もある.
②松本盆地西部の扇状地間の低地;黒沢川,烏川,中房川の各扇状地間の低地から扇端の一部には軟弱な堆積物が5m以上堆積していることが多く,烏川,中房川扇状地間では,有明花崗岩起源のマサ土起源の砂~シルトが特徴的である.
③黒沢川扇状地上;砂礫層中にシルト質堆積物を互層状に挟在する地域が見られ,N値5以下のロームを複数挟むこともある.
④三川(穂高川・高瀬川・犀川)合流域付近の氾濫原;砂礫層中にN値5以下の砂層やシルト層を不規則に挟み,時に有機質土を挟在する.
引用文献:1) 信州大学震動調査グループ(2014)「揺れやすさマップ」を活かして地震に備える.2) 信州大学震動調査グループ(2016) 大町市の地震動と地盤に関する調査報告書.3) 信州大学震動調査グループ(2020) 安曇野市地盤と地震動に関する調査報告書.4) 長野県(2015) 第3次長野県地震被害想定調査報告書.5) 信州大学震動調査グループ(2013)「あっ,地震だ」その時、どう揺れた?
信州大学震動調査グループ; 遠藤正孝・古本吉倫・原田晋太郎・原山 智・井関芳郎・北沢淳史・小松宏昭・小坂共栄(代表)・松下英次・宮沢洋介・小野和行・太田勝一・塩野敏昭・土本俊和・津金達郎・富樫均・高橋康・竹下欣宏・田中俊廣・田邉政貴・山浦直人・矢野孝雄・吉田孝紀
安曇野市は西から北アルプス,松本盆地,犀川丘陵にまたがり,盆地東縁部には松本盆地東縁断層(糸魚川-静岡構造線断層帯)が位置する.安曇野市が従来市民に配布していた揺れやすさマップは,長野県が平成27年に作成した「糸魚川-静岡構造線断層帯(全体)を震源とする地震」(想定M8.5)が発生した場合の震度分布図4)であった.この分布図は250mメッシュで,居住地域での揺れやすさは,ほぼ南北方方向の帯状区分(震度6強~5弱)であり,その土地の成り立ちや地質構成を反映した揺れやすさの差異は表現されていない.630松本地震の際,松本市では狭い範囲でも震度3~6強までの揺れが確認されており5),我々の作成した揺れやすさマップからも地盤の違いが揺れに反映されていることが明らかである.
揺れやすさは表層地盤による地震波の増幅率の違いで決まる(軟弱な地盤程揺れやすい).県の調査4)で使用された安曇野市のボーリングデータは333本であったが,我々は同地域でその4倍強の1364本のボーリングデータを収集した.データ数を増やしたことで,メッシュサイズは250mを基本としながら地形・地盤の複雑さに応じて125mメッシュにまで細分し,2サイズの混合の詳細な地盤モデルの作成が可能となった.揺れやすさマップは,特定の地震を想定せず,各メッシュに兵庫県南部地震(M7.3)相当の地震波を入力し算出された震度値を図化した.その際,震度階には変換せず,多段階の色調表現を採用しているのが特徴である.こう表現にすることによって,巨大地震では一様の揺れやすさに区分される地域の中にあっても,盆地直下のどこで起こるかわからない,中規模の地震の際に,より強く揺れる可能性のある地域(①~④)をあぶり出すことができた.地盤の違いによる揺れ方の違いを明示しておくことは防災・減災のうえで重要である.
以下に各地域の揺れを増幅する堆積物について述べる.
①松本盆地東縁の段丘上;犀川丘陵を起源とする多くの小規模な扇状地中にはN値10以下の砂~泥が10m以上堆積している部分もある.
②松本盆地西部の扇状地間の低地;黒沢川,烏川,中房川の各扇状地間の低地から扇端の一部には軟弱な堆積物が5m以上堆積していることが多く,烏川,中房川扇状地間では,有明花崗岩起源のマサ土起源の砂~シルトが特徴的である.
③黒沢川扇状地上;砂礫層中にシルト質堆積物を互層状に挟在する地域が見られ,N値5以下のロームを複数挟むこともある.
④三川(穂高川・高瀬川・犀川)合流域付近の氾濫原;砂礫層中にN値5以下の砂層やシルト層を不規則に挟み,時に有機質土を挟在する.
引用文献:1) 信州大学震動調査グループ(2014)「揺れやすさマップ」を活かして地震に備える.2) 信州大学震動調査グループ(2016) 大町市の地震動と地盤に関する調査報告書.3) 信州大学震動調査グループ(2020) 安曇野市地盤と地震動に関する調査報告書.4) 長野県(2015) 第3次長野県地震被害想定調査報告書.5) 信州大学震動調査グループ(2013)「あっ,地震だ」その時、どう揺れた?
信州大学震動調査グループ; 遠藤正孝・古本吉倫・原田晋太郎・原山 智・井関芳郎・北沢淳史・小松宏昭・小坂共栄(代表)・松下英次・宮沢洋介・小野和行・太田勝一・塩野敏昭・土本俊和・津金達郎・富樫均・高橋康・竹下欣宏・田中俊廣・田邉政貴・山浦直人・矢野孝雄・吉田孝紀