3:00 PM - 3:15 PM
[T6-O-3] Introduction of the Kagawa University Museum and the problems of university museum management
Keywords:university museum, collection, cloud-based database system
香川大学博物館は、四国初の大学博物館として2007年4月に設置、2008年4月に開館した。香川大学と地域との連携を文化面から深めるため、以下の理念と目標を持つ。1. 香川大学の教育・研究において蓄積された数万点に及ぶ標本・資料・発明品などの知的財産の収集・保管・研究活動に重点を置く。2. 香川大学における教育・研究の成果を活かし、地域の自然や文化を研究する市民研究者や郷土史家、小中高の教員、学芸員、サイエンスボランティアなどの研修や交流の場としての「教育・研究型」博物館。3. 香川大学の教職員がその専門的な知識や経験を生かして、香川県全域に展開するさまざまな博物館・資料館、及び歴史、地理、生物、科学、地学などに関する研究団体などの研究活動を支援する「地域密着型」博物館。
活動として以下を掲げている。収集・保存:香川大学の全ての学部、各学科、各研究室などに所蔵されている標本・資料のリストを作成しホームページで公開する。大学の教育・研究活動によって増加する標本・資料を収集・保管する。さらに学外から寄贈・寄託される標本・資料を積極的に受託する。展示・交流:博物館の基本的性質を示す常設展のほかに、大学内の教育研究成果や、大学博物館と学外のさまざまな個人、団体との教育によって多様な企画展を開催する。教育・普及:「モノ」を通して、真理を学ぶ生涯学習の場を提供する。本学教職員や学外協力員をミュージアム・アドバイザーとして、学生や学外の個人、団体が共に研究し、学ぶ「協育」を基本とする。多彩なテーマのミュージアム・レクチャーを開講する。企画展のテーマに合わせた公開講座を香川大学生涯学習教育研究センターと協力して開講する。
理念と目標、そして活動目標は崇高であるが、実情は厳しいものがある。施設は、展示室・収蔵庫・実習スペースを合わせて、延床面積約250m2しかない。展示室は、教室ほどの面積しかなく、企画展・特別展の際は常設展示を撤収する必要があり、標本・資料等に少なからずダメージを与えることになる。収蔵庫は、学内外からの移管・寄贈標本でほぼ満杯で、実習スペースにも収蔵し、体験教室は学内の実験室等を活用している。専任教員は不在で、館長(併任)と研究担当と資料担当の2名の副館長(いずれも併任)、全学委員会である博物館会議委員と博物館の活動に協力的な教職員、そして学生らによって運営と活動がなりたっている。職員は、事務補佐員2名(再雇用職員と非常勤職員)で、1名は完全な事務職であるが、もう1名は民間の文学館における勤務経験があり学芸員的な業務に精通しているのが支えである。
開館から13年間(新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2020年3月中旬から2021年2月初旬まで臨時休館)に、企画展を毎年2回、夏休みには自然系、秋には人文系を基本とし、計24回開催した。特別展は、開館前に開催した学外特別展2回を加えると計15回に上る。合計39回の企画展・特別展では、関連行事としてミュージアム・レクチャー、特別講演会、講演会、セミナー、トークイベント等を開催した。これらの活動は高く評価されており、科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)を平成25年度に「自然史系標本資料活用の拠点形成による科学への理解増進」で、平成31年度に「持続可能社会への地域の知恵に学ぶ水環境と減災の理解増進」で演者を含む関係教員が受賞している。さらに、令和2年度高松市文化奨励賞(顕彰部門)を演者が受賞している。
所蔵するコレクションの一つに、「岩﨑コレクション」がある。オフィオライト研究者として著名な岩﨑正夫氏(1922-2016)によって、世界各地で採集・収集された岩石鉱物標本である。寄贈申し込みが2011年12月にあり、2021年7月からリストとともに受け入れを開始した。2015年8月までに受け入れた標本は、もろぶた(木製の大型のもの)71箱、950個である。その後、もろぶた200箱以上、二千数百個の標本を受け入れたが、ラベルの記載からリストを作成し、撮影した写真とともにクラウド型データベースシステムに収蔵品の登録を順次行なっている。
2021年4月から、大学博物館等協議会の会長校を香川大学博物館が務めている。大学博物館等協議会は、会員相互の緊密な連絡と協力によって博物館活動の進展に寄与し、当面する問題の解決を図っていくために、大学附置の博物館や設置準備委員会、国立博物館等で創設された団体で、加盟館は現在41館である。年に一度介し、大学博物館等が抱える課題と取り組みについて協議・検討し、同時に開催される博物科学会では、教育、情報、研究、地域との連携、展示、マネジメントに係る事例紹介や成果発表が行われ、活発な議論がなされている。大学博物館に共通した課題についても紹介する予定である。
活動として以下を掲げている。収集・保存:香川大学の全ての学部、各学科、各研究室などに所蔵されている標本・資料のリストを作成しホームページで公開する。大学の教育・研究活動によって増加する標本・資料を収集・保管する。さらに学外から寄贈・寄託される標本・資料を積極的に受託する。展示・交流:博物館の基本的性質を示す常設展のほかに、大学内の教育研究成果や、大学博物館と学外のさまざまな個人、団体との教育によって多様な企画展を開催する。教育・普及:「モノ」を通して、真理を学ぶ生涯学習の場を提供する。本学教職員や学外協力員をミュージアム・アドバイザーとして、学生や学外の個人、団体が共に研究し、学ぶ「協育」を基本とする。多彩なテーマのミュージアム・レクチャーを開講する。企画展のテーマに合わせた公開講座を香川大学生涯学習教育研究センターと協力して開講する。
理念と目標、そして活動目標は崇高であるが、実情は厳しいものがある。施設は、展示室・収蔵庫・実習スペースを合わせて、延床面積約250m2しかない。展示室は、教室ほどの面積しかなく、企画展・特別展の際は常設展示を撤収する必要があり、標本・資料等に少なからずダメージを与えることになる。収蔵庫は、学内外からの移管・寄贈標本でほぼ満杯で、実習スペースにも収蔵し、体験教室は学内の実験室等を活用している。専任教員は不在で、館長(併任)と研究担当と資料担当の2名の副館長(いずれも併任)、全学委員会である博物館会議委員と博物館の活動に協力的な教職員、そして学生らによって運営と活動がなりたっている。職員は、事務補佐員2名(再雇用職員と非常勤職員)で、1名は完全な事務職であるが、もう1名は民間の文学館における勤務経験があり学芸員的な業務に精通しているのが支えである。
開館から13年間(新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2020年3月中旬から2021年2月初旬まで臨時休館)に、企画展を毎年2回、夏休みには自然系、秋には人文系を基本とし、計24回開催した。特別展は、開館前に開催した学外特別展2回を加えると計15回に上る。合計39回の企画展・特別展では、関連行事としてミュージアム・レクチャー、特別講演会、講演会、セミナー、トークイベント等を開催した。これらの活動は高く評価されており、科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)を平成25年度に「自然史系標本資料活用の拠点形成による科学への理解増進」で、平成31年度に「持続可能社会への地域の知恵に学ぶ水環境と減災の理解増進」で演者を含む関係教員が受賞している。さらに、令和2年度高松市文化奨励賞(顕彰部門)を演者が受賞している。
所蔵するコレクションの一つに、「岩﨑コレクション」がある。オフィオライト研究者として著名な岩﨑正夫氏(1922-2016)によって、世界各地で採集・収集された岩石鉱物標本である。寄贈申し込みが2011年12月にあり、2021年7月からリストとともに受け入れを開始した。2015年8月までに受け入れた標本は、もろぶた(木製の大型のもの)71箱、950個である。その後、もろぶた200箱以上、二千数百個の標本を受け入れたが、ラベルの記載からリストを作成し、撮影した写真とともにクラウド型データベースシステムに収蔵品の登録を順次行なっている。
2021年4月から、大学博物館等協議会の会長校を香川大学博物館が務めている。大学博物館等協議会は、会員相互の緊密な連絡と協力によって博物館活動の進展に寄与し、当面する問題の解決を図っていくために、大学附置の博物館や設置準備委員会、国立博物館等で創設された団体で、加盟館は現在41館である。年に一度介し、大学博物館等が抱える課題と取り組みについて協議・検討し、同時に開催される博物科学会では、教育、情報、研究、地域との連携、展示、マネジメントに係る事例紹介や成果発表が行われ、活発な議論がなされている。大学博物館に共通した課題についても紹介する予定である。