4:00 PM - 6:30 PM
[R13-P-8] High density 2D seismic profiling in the Nankai trough off eastern Shikoku and Cape Muroto
Keywords:Nankai Trough, seismic reflection survey, subducting seamount
室戸岬から四国東部沖の南海トラフは1946年南海道地震の震源域と考えられている。この海域には海山が沈み込んでいることが指摘されている(Kodaira et al. 2000, Park et al. 2002)が、近年では浅部超低周波地震の活動も報告されており(Obara and Ito 2005, Nakano et al. 2018, Takemura et al. 2019)、沈み込み帯のプレート間滑り現象を研究する上で興味深い場所である。
我々は、この海域において沈み込む海山を含むプレート境界近傍の地下構造を3次元的に把握することを目的として、2019年12月から2020年1月にかけてこの海域において稠密測線による反射法地震探査を実施した。プレート沈み込み方向に4km間隔の21測線と、それらに直交する方向(トラフ軸走向方向)に取得された6測線でデータを取得した。取得したデータに2次元重合前深度マイグレーション処理を実施し深度断面を作成した。 得られた深度断面を解釈することで沈み込むフィリピン海プレートの形状を3次元的に把握することができる。Kodaira et al. (2000)が指摘した沈み込む海山は、幅30-40kmの高まりの上にさらにいくつかのピークを持つことが示唆される。
上盤側の構造に着目すると、調査海域の西部(室戸岬側)では、浅部に斜面堆積物が明瞭に見られる箇所が分布するのに対し、東部(紀伊水道側)ではそのような堆積層があまり見られない。また、西部の斜面下には過去の3次元反射法探査でも指摘されたような(たとえばMoore et al. 2005)明瞭な陸側傾斜の反射面を持つthrust sheetが見られるのに対し、東部の斜面下にはそのような構造が見られない。海底地形に関しても、東部では西部に比べると起伏が激しい。これらの差は、海山の沈み込みの影響の有無と関連しているように思われる。 海山の沈み込みによって引き起こされるプレート境界近傍や上盤プレート内で応力状態の変化はプレート間滑り現象と密接に関連していると考えられている。上記した構造や地形の不均質性は、上盤側プレート内の応力不均質をも表している可能性がある。今後、ゆっくり地震の活動域と地下構造の対比を行い、プレート間滑り様式の違いと地下構造との関連に関して議論する。
参考文献
Kodaira et al. (2000) Subducted Seamount Imaged in the Rupture Zone of the 1946 Nankaido Earthquake, Science, 289 104-106
Park et al. (2002) A deep strong reflector in the Nankai accretionary wedge from multichannel seismic data: Implications for underplating and interseismic shear stress release, JGR, 107, ESE3-1 – ESE3-16
Obara and Ito (2005) Very low frequency earthquakes excited by the 2004 off the Kii peninsula earthquakes: A dynamic deformation process in the large accretionary prism, EPS, 57, 321-326
Nakano et al. (2018) Shallow very-low-frequency earthquakes accompany slow slip events in the Nankai subduction zone, Nature Comm., DOI: 10.1038/s41467-018-03431-5
Takemura et al. (2019) Structural Characteristics of the Nankai Trough Shallow Plate Boundary Inferred From Shallow Very Low Frequency Earthquakes, GRL, 46, https://doi.org/10.1029/2019GL082448
Moore et al. (2005) Legs 190 and 196 synthesis: deformation and fluid flow processes n the Nankai Trough accretionary prism, Proc. ODP, Sci. Results, 190/196, 1–26
我々は、この海域において沈み込む海山を含むプレート境界近傍の地下構造を3次元的に把握することを目的として、2019年12月から2020年1月にかけてこの海域において稠密測線による反射法地震探査を実施した。プレート沈み込み方向に4km間隔の21測線と、それらに直交する方向(トラフ軸走向方向)に取得された6測線でデータを取得した。取得したデータに2次元重合前深度マイグレーション処理を実施し深度断面を作成した。 得られた深度断面を解釈することで沈み込むフィリピン海プレートの形状を3次元的に把握することができる。Kodaira et al. (2000)が指摘した沈み込む海山は、幅30-40kmの高まりの上にさらにいくつかのピークを持つことが示唆される。
上盤側の構造に着目すると、調査海域の西部(室戸岬側)では、浅部に斜面堆積物が明瞭に見られる箇所が分布するのに対し、東部(紀伊水道側)ではそのような堆積層があまり見られない。また、西部の斜面下には過去の3次元反射法探査でも指摘されたような(たとえばMoore et al. 2005)明瞭な陸側傾斜の反射面を持つthrust sheetが見られるのに対し、東部の斜面下にはそのような構造が見られない。海底地形に関しても、東部では西部に比べると起伏が激しい。これらの差は、海山の沈み込みの影響の有無と関連しているように思われる。 海山の沈み込みによって引き起こされるプレート境界近傍や上盤プレート内で応力状態の変化はプレート間滑り現象と密接に関連していると考えられている。上記した構造や地形の不均質性は、上盤側プレート内の応力不均質をも表している可能性がある。今後、ゆっくり地震の活動域と地下構造の対比を行い、プレート間滑り様式の違いと地下構造との関連に関して議論する。
参考文献
Kodaira et al. (2000) Subducted Seamount Imaged in the Rupture Zone of the 1946 Nankaido Earthquake, Science, 289 104-106
Park et al. (2002) A deep strong reflector in the Nankai accretionary wedge from multichannel seismic data: Implications for underplating and interseismic shear stress release, JGR, 107, ESE3-1 – ESE3-16
Obara and Ito (2005) Very low frequency earthquakes excited by the 2004 off the Kii peninsula earthquakes: A dynamic deformation process in the large accretionary prism, EPS, 57, 321-326
Nakano et al. (2018) Shallow very-low-frequency earthquakes accompany slow slip events in the Nankai subduction zone, Nature Comm., DOI: 10.1038/s41467-018-03431-5
Takemura et al. (2019) Structural Characteristics of the Nankai Trough Shallow Plate Boundary Inferred From Shallow Very Low Frequency Earthquakes, GRL, 46, https://doi.org/10.1029/2019GL082448
Moore et al. (2005) Legs 190 and 196 synthesis: deformation and fluid flow processes n the Nankai Trough accretionary prism, Proc. ODP, Sci. Results, 190/196, 1–26