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[R15-P-3] (entry) Reevaluation of microfossil records during the Carboniferous-earliest Permian marine biodiversification event: An example of Hina limestone, SW Japan
Keywords:Late Paleozoic, Biodiversification Event, Mississippian-Pennsylvanian Boundary, conodont, Hina Limestone
顕生代には複数回の氷河時代が生じたことが知られているが、その中でも古生代後期の氷河時代(Late Paleozoic Ice Age; LPIA)は、超大陸パンゲアの形成、大気中の酸素/二酸化炭素濃度の増加/減少、熱帯雨林の進化と拡大といった様々な地質イベントで特徴付けられる(e.g., Berner, 2006; Montañez et al., 2007; Montañez and Poulsen, 2013)。さらに近年LPIAの期間、特に前期石炭紀(mid-Visean)から前期ペルム紀(late Asslian)の間に、生物種が急激に増加(10.75%/Myr)した生物多様性イベント(Carboniferous–earliest Permian Biodiversification Event; CPBE)が報告されている(Fan et al., 2020; Shi et al., 2021)。この生物種の増加率は、中期から後期オルドビス紀にかけて生じた生物多様性イベント(Great Ordovician Biodiversification Event; GOBE)に匹敵する(11.60%/Myr)と推定されており、CPBEの全容解明は古生代に生じた生物多様性を包括的に理解する上で非常に重要な研究課題である。CPBEによる生物種の増加は大きく2回のイベントに分けられ、1回目は前期石炭紀(mid-Visean)から後期石炭紀(early Bashkirian)、そして2回目は後期石炭紀(early Bashkirian)から前期ペルム紀(Late Asselian)に相当する(Fan et al., 2020; Shi et al., 2021)。これらの期間では、コノドントや頭足動物といった生物群は緩やかに減少する一方で、有孔虫や腕足動物といった生物群は急激に種の数を増やしていったことが報告されている。しかし、これらの議論は、主に中国、インドネシア、カザフスタンといったテチス海を囲む大陸縁辺部の化石記録に基づいて展開されており、当時の海洋の大部分を占めていたパンサラッサ海での化石記録はほとんど含まれていない。 そこで本研究では、超海洋パンサラッサ中央部にて堆積した古海山頂部起源の環礁複合体と考えられる岡山県井原地域に産する日南石灰岩に着目した。先行研究では、層厚約50mに及ぶ一連の石灰岩セクションから約1 m間隔でコノドント化石が抽出・記載され、前期–後期石炭紀境界(Mississippian-Pennsylvanian Boundary; MPB)を跨ぐ6属16種のコノドント相が報告されている(Mizuno, 1997)。一方で、我々が新たにcmスケールの詳細な地質柱状図の作成及び岩石記載を行った結果、同セクションから先行研究では記載されていなかった断層が新たに2箇所確認された。本研究では、これら断層間の年代ギャップの評価に加え、これまで主にテチス海浅海部の化石記録から評価されていたCPBEに、新たにパンサラッサ海中央部での化石記録を加えることで、CPBEの中でも1回目の生物種増加イベントが生じたMPB近傍での全球的な描像を捉えることを目標としている。今回の発表では、これまでに行った日南石灰岩の露頭記載に加え、コノドントやフズリナといった化石記録の最新の結果を紹介する予定である。