128th JGS: 2021

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R24 [Regular Session]Mineral resources and global material cycles

[3poster83-83] R24 [Regular Session]Mineral resources and global material cycles

Mon. Sep 6, 2021 4:00 PM - 6:30 PM poster (poster)

4:00 PM - 6:30 PM

[R24-P-1] (entry) Sr-Nd-Pb isotopic constrains on the polymetallic mineralization at the Toyoha deposit, Hokkaido, Japan

*Mizuki Ishida1, Yuki Hieda1, Shuhei Araki1, Koichiro Fujinaga2,3, Toru Shimizu4, Masaharu Tanimizu5, Hitomi Nakamura4, Hikaru Iwamori6,7, Shiki Machida2,3, Shigekazu Yoneda8, Kentaro Nakamura1,2, Yasuhiro Kato3,1,2,7 (1. Department of Systems Innovation, Graduate School of Engineering, The University of Tokyo, 2. Ocean Resources Research Center for Next Generation (ORCeNG), Chiba Institute of Technology, 3. Frontier Research Center for Energy and Resources (FRCER), School of Engineering, The University of Tokyo, 4. National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST), 5. Department of Applied Chemistry for Environment, School of Science and Technology, Kwansei Gakuin University, 6. Earthquake Research Institute, The University of Tokyo, 7. Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology (JAMSTEC), 8. National Museum of Nature and Science, Department of Science and Engineering)

Keywords:epithermal deposit, indium, Jozankei district, lead isotope, magma

産業上重要な金属元素の中には、鉛、亜鉛などのベースメタルの鉱石の副産物 (by-product) として産するものがある(たとえば、インジウム、カドミウム、テルルなど)。副産物の元素は、すべてのベースメタルの鉱床に濃集しているわけではなく、資源量の評価や効率的な探査が難しいことが知られている。したがって、これらの副産物元素が、なぜ、どのような場合に鉱床に濃集するかのメカニズムの解明が、重要な課題となっている [1]。
 レアメタルの1種であり、液晶や半導体に利用されるインジウムも、ベースメタルの副産物として産する元素の1つである。浅熱水性の鉛-亜鉛鉱床である北海道西部の豊羽鉱床は、1990年代には世界最大のインジウム鉱床として知られていた [2]。豊羽鉱床の鉱脈は、その走向や鉱物組み合わせにより前期脈と後期脈に分けられており、このうち後期脈は鉛-亜鉛に加えて、銀、銅、スズ、インジウムなどを産する [3]。豊羽鉱床の成因について、これまで様々な議論が行われてきたものの、後期脈の多金属鉱化作用の原因については不明な点が多い。後期脈に産する鉛、亜鉛、銀、銅、インジウムは全て親銅元素であり、これらの元素の起源物質の指標として、Pb同位体比は適していると考えられる。そこで本研究は、豊羽鉱床の鉱石中の硫化鉱物のPb同位体比と、豊羽鉱床周辺地域の岩石のSr-Nd-Pb同位体比を組み合わせることで、豊羽鉱床の鉱石中の金属元素の起源について制約することを目的とする。
 豊羽鉱床の鉱石中の硫化鉱物(方鉛鉱、閃亜鉛鉱、黄銅鉱など)のPb同位体比は、前期脈後期脈ともに、豊羽地域の基盤岩である薄別層よりも低い207Pb/204Pbおよび208Pb/204Pb比を示した。したがって、鉱石中のインジウムは、基盤岩に由来するものではないことが示唆される。また、前期脈のPb同位体比は、豊羽鉱山南方の無意根山溶岩の同位体比の範囲とほぼ一致することから、無意根山と同様の同位体比を持つマグマが、前期脈に金属元素を供給したと考えられる。これに対して後期脈は、前期脈や無意根山よりも幅広い206Pb/204Pb同位体比を示し、前期脈とは異なる金属元素のソースを持っていた可能性が高い。発表においては、後期脈に特徴的なこの金属元素のソースの候補について、周辺岩石のSr-Nd-Pb同位体比に基づいて制約するとともに、後期脈に多金属鉱化作用が生じた要因について考察を行う。

[1] Jowitt, S. et al. 2018. Econ. Geol. Spec, Publ. 21, 25-38.
[2] Ohta, E., 1991. Min. Geol. 41, 279–295.
[3] Yajima, J., Ohta, E., 1979. Min. Geol. 29, 291–306.