11:00 AM - 11:30 AM
[S1-O-5] The marker tephras of the lower part pf the Kazusa Group in the southern Kanto area, Japan and its significance -Focusing on the 2.5 Ma Tanzawa-garnet pumice found in the Kanto Plain -
Keywords:Kazusa Group, marker tephra, widespread tephra correlation, Tanzawa-garnet pumice
鮮新-更新世テフラの広域対比と編年:大規模噴火により広域に分布するテフラは,噴出後極めて短時間に堆積するため,離れた地域に同時間面を示す鍵層として重要である.関東,大阪,濃尾平野等,日本の大平野の土台を構成する鮮新-更新統のテフラ編年は,各地のテフラ記載データの蓄積と,テフラ中の火山ガラスの化学成分分析などの様々な対比手法の適用により進められ,現在,およそ4Ma~1Maにかけて36層の広域テフラが報告されている(Tamura and Yamazaki, 2015など ).
南関東のテフラ編年の現状と成果:関東平野に分布する海成の鮮新-更新統,上総層群には日本列島各地から飛来した夥しい数のテフラ層が挟在されている.時間指標となる広域テフラも多数見出され,房総半島中央部に分布する上総層群において,およそ1Ma~2.2Maの大田代層~最下部の勝浦層中に16層の広域テフラが報告された(田村ほか,2019a).また,近年,房総半島北東部の銚子犬吠層群や南部の千倉層群,三浦半島の鎌倉逗子など南関東に分布する上総層群相当層のテフラ記載・対比研究が進んでいる.これらの地域では不整合により地層が削剥されていないため,さらに下位に13層の指標テフラが見出され,その年代は3Maを遡ることが明らかにされた(Tamura et al., 2016; 田村ほか,2019bなど).これらの指標テフラは,日本で一番広い関東平野を作った前弧海盆の形成年代,隆起沈降テクトニクス等の解明において重要な役割を果たしている.
南関東に分布する2.5Maの丹沢-ざくろ石軽石層:南関東の上総層群相当層中の指標テフラの一つに,大量にざくろ石を含むという特徴を有する丹沢-ざくろ石軽石層(Tn-G:2.5Ma,田村ほか,2010)がある. 銚子半島の屏風ヶ浦に露出する犬吠層群下部の名洗層において,田村ほか(2007)は,広域テフラの可能性が高い細粒ガラス質テフラを14層記載し,下位よりIn1~In14テフラと命名した.このうち8層が他地域のテフラと広域対比され,名洗層の堆積年代におよそ3.1Ma~2.3Maという時間面が入った(田村ほか,2007;田村ほか,2019bなど).ざくろ石を大量に含む軽石層はIn7とIn6の間に見出され,名洗含ざくろ石テフラと命名された(NaG:田村ほか,2010).NaGより上位のIn7は東海層群の御幣川テフラ(2.4~2.5Ma:宮村ほか,1981),NaGより下位ではIn6より一つ下位のIn5が東海層群の寺川テフラ(2.6Ma:宮村ほか,1981)に対比されている.南関東では,大量にざくろ石を含むテフラ層について,神奈川県愛川町の中津層群の含ざくろ石軽石層(Mk19:野田ほか,1999),鎌倉市の上総層群下部の含ざくろ石軽石層(KGP:稲垣ほか,2007)が報告され,両テフラは稲垣ほか(2007)により対比された.NaGとMk19,KGPとは記載岩石学的特徴,ざくろ石の化学組成,テフラ層の層位がよく一致し対比された.さらに,東京都江東区の深層ボーリングコア中からざくろ石を大量に含む軽石層が見出された(KT1217:田村ほか,2010).KT1217の諸特徴も他のざくろ石テフラと良く一致し対比され,4地域のざくろ石の粒径の傾向などから,その給源火山が丹沢に求められた.このざくろ石テフラは丹沢-ざくろ石軽石層(Tn-GP)と命名され南関東に分布する広域テフラであることが明らかとなった(田村ほか,2010).Tn-GPの堆積年代は各地における生化石層序,テフラ層序,古地磁気層序などから,およそ2.5Maと推定された.名洗層において,NaGより一つ下位のIn5と対比された寺川テフラは2.6Maのガウス上部である.これらの対比から,名洗層において,新第三紀/第四紀の境界がNaGとIn5の間にあることが明らかになった(田村,2019b).また,Tn-GPの発見により,関東堆積盆(上総海盆)の沈降中心に近い江東付近では,中津,銚子などの平野周縁部に対し,相対的に平均0.5㎜/年の速度で沈降していることが示された(田村ほか,2010).
文献: 稲垣ほか(2007)地球科学,61,143-148.宮村ほか(1981)亀山地域の地質 5万分の1地質図幅,128p.野田ほか(1999)第四紀研究,38,65-73.Tamura and Yamazaki (2015) XIX INQUA,S04-P07.田村ほか(2007)日本第四紀学会講演要旨集37,38-39.田村ほか(2010)地質雑,116,360-373.Tamura et al. (2016)Geo.Rep.of TMU.51,41-51.田村ほか(2019a)地質雑,125,23-39.田村ほか(2019b)日本第四紀学会講演要旨集49,52p.
南関東のテフラ編年の現状と成果:関東平野に分布する海成の鮮新-更新統,上総層群には日本列島各地から飛来した夥しい数のテフラ層が挟在されている.時間指標となる広域テフラも多数見出され,房総半島中央部に分布する上総層群において,およそ1Ma~2.2Maの大田代層~最下部の勝浦層中に16層の広域テフラが報告された(田村ほか,2019a).また,近年,房総半島北東部の銚子犬吠層群や南部の千倉層群,三浦半島の鎌倉逗子など南関東に分布する上総層群相当層のテフラ記載・対比研究が進んでいる.これらの地域では不整合により地層が削剥されていないため,さらに下位に13層の指標テフラが見出され,その年代は3Maを遡ることが明らかにされた(Tamura et al., 2016; 田村ほか,2019bなど).これらの指標テフラは,日本で一番広い関東平野を作った前弧海盆の形成年代,隆起沈降テクトニクス等の解明において重要な役割を果たしている.
南関東に分布する2.5Maの丹沢-ざくろ石軽石層:南関東の上総層群相当層中の指標テフラの一つに,大量にざくろ石を含むという特徴を有する丹沢-ざくろ石軽石層(Tn-G:2.5Ma,田村ほか,2010)がある. 銚子半島の屏風ヶ浦に露出する犬吠層群下部の名洗層において,田村ほか(2007)は,広域テフラの可能性が高い細粒ガラス質テフラを14層記載し,下位よりIn1~In14テフラと命名した.このうち8層が他地域のテフラと広域対比され,名洗層の堆積年代におよそ3.1Ma~2.3Maという時間面が入った(田村ほか,2007;田村ほか,2019bなど).ざくろ石を大量に含む軽石層はIn7とIn6の間に見出され,名洗含ざくろ石テフラと命名された(NaG:田村ほか,2010).NaGより上位のIn7は東海層群の御幣川テフラ(2.4~2.5Ma:宮村ほか,1981),NaGより下位ではIn6より一つ下位のIn5が東海層群の寺川テフラ(2.6Ma:宮村ほか,1981)に対比されている.南関東では,大量にざくろ石を含むテフラ層について,神奈川県愛川町の中津層群の含ざくろ石軽石層(Mk19:野田ほか,1999),鎌倉市の上総層群下部の含ざくろ石軽石層(KGP:稲垣ほか,2007)が報告され,両テフラは稲垣ほか(2007)により対比された.NaGとMk19,KGPとは記載岩石学的特徴,ざくろ石の化学組成,テフラ層の層位がよく一致し対比された.さらに,東京都江東区の深層ボーリングコア中からざくろ石を大量に含む軽石層が見出された(KT1217:田村ほか,2010).KT1217の諸特徴も他のざくろ石テフラと良く一致し対比され,4地域のざくろ石の粒径の傾向などから,その給源火山が丹沢に求められた.このざくろ石テフラは丹沢-ざくろ石軽石層(Tn-GP)と命名され南関東に分布する広域テフラであることが明らかとなった(田村ほか,2010).Tn-GPの堆積年代は各地における生化石層序,テフラ層序,古地磁気層序などから,およそ2.5Maと推定された.名洗層において,NaGより一つ下位のIn5と対比された寺川テフラは2.6Maのガウス上部である.これらの対比から,名洗層において,新第三紀/第四紀の境界がNaGとIn5の間にあることが明らかになった(田村,2019b).また,Tn-GPの発見により,関東堆積盆(上総海盆)の沈降中心に近い江東付近では,中津,銚子などの平野周縁部に対し,相対的に平均0.5㎜/年の速度で沈降していることが示された(田村ほか,2010).
文献: 稲垣ほか(2007)地球科学,61,143-148.宮村ほか(1981)亀山地域の地質 5万分の1地質図幅,128p.野田ほか(1999)第四紀研究,38,65-73.Tamura and Yamazaki (2015) XIX INQUA,S04-P07.田村ほか(2007)日本第四紀学会講演要旨集37,38-39.田村ほか(2010)地質雑,116,360-373.Tamura et al. (2016)Geo.Rep.of TMU.51,41-51.田村ほか(2019a)地質雑,125,23-39.田村ほか(2019b)日本第四紀学会講演要旨集49,52p.