10:15 AM - 10:30 AM
[T7-O-5] The oldest portion of Pacific oceanic crust reconstructed from the felsic xenoliths brought by petit-spot volcanoes
Keywords:oceanic crust, oceanic lithosphere, xenolith, plagiogranite, petit-spot volcano, Pacific plate
地球表層の8割を覆う海洋プレートの構成岩石は, これまで陸域ではオフィオライト (例えば, オマーンオフィオライト), 海洋域では特に低速拡大系の中央海嶺や背弧拡大軸のデタッチメント断層 (海洋コアコンプレックス) やトランスフォーム断層 (例えば, 東太平洋海膨), あるいは深海掘削で得られる岩石によりその実態が研究されてきた (Warren, 2016). しかし, 海嶺軸から離れた古い海洋プレートの構成岩石の報告例は極めて少なく, 海洋プレートの冷却史を紐解くにはモホール計画を代表とする超深部掘削以外打つ手はないと考えられてきた.
プチスポット火山は沈み込む海溝手前の日本海溝沖やマリアナ海溝沖で活動するアルカリマグマであり, 希ガス同位体組成や複数相飽和実験, 化学組成や噴出場などの情報からプレート直下アセノスフェア由来のマグマ活動とされている. そのため, プチスポット火山岩に包有される深部由来捕獲岩は, 我々が手にすることができる有用な古い海洋プレート物質であると言える (Hirano et al., 2006; Machida et al., 2015, 2017) . また, プチスポットの捕獲岩はソレアイト質玄武岩, ドレライト, 斑レイ岩, ケイ長質岩, スピネルカンラン岩, ザクロ石 (シンプレクタイト) カンラン岩まで多様性があり, プレート層序を網羅することができる上に, マグマ交代作用などを示唆する超苦鉄質捕獲岩も報告されており, 海洋プレートの改変過程を明らかにすることができる潜在性も持ち合わせている (Hirano et al., 2006; Harigane et al., 2011; Yamamoto et al., 2014; Pilet et al., 2016; Mikuni et al., in revision).
我々は北西太平洋海域および南鳥島南東部のプチスポット火山から発見された, 長石や石英から構成されるケイ長質捕獲岩に着目し, 岩石記載と鉱物化学組成分析を行った. 約3 Maに噴出した南鳥島南東部のプチスポット小海丘に含まれるケイ長質捕獲岩は, 長石が卓越し, 曹長石から灰曹長石組成のものやカリウムに富む組成を示すものまで広い組成範囲を示した. また, 母岩マグマと反応した部分はカルシウムに富む傾向が見られた. 一方で, 北西太平洋海域のプチスポット火山に包有されるケイ長質捕獲岩は長石と石英から成り, 長石は中性長石組成のものとサニディン組成のものが見られた. これらはそれぞれ1億4000万年前および1億6000万年前 (当時の拡大速度はそれぞれ60–70, 90–100 mm/年; Müller et al., 2008)の海洋プレート物質, 特に地殻の断片であると予想される. これらが東太平洋海膨ヘス・ディープ掘削孔U1415の岩石やオフィオライトなどで確認されている, 高速拡大海嶺下で形成された下部地殻に普遍的に見られる層状斑レイ岩のケイ長質部である可能性や, 掘削孔1256Dの斑レイ岩相に見られた石英を含む花崗岩質のグラノブラスティックダイクに類似するもの, あるいは地殻の再溶融現象によって形成された斜長石花崗岩 (いわゆるplagiogranite) である可能性が挙げられる. 本発表では, その起源について考察する. また, 本研究で扱う岩相に加えて, これまで報告されてきた玄武岩捕獲岩, 斑レイ岩およびドレライト捕獲岩やカンラン岩捕獲岩およびマグマ交代作用を示唆する超苦鉄質捕獲岩を併せ, 白亜紀からジュラ紀に形成された古い海洋プレートの岩相プロファイリングを試みる.
Hirano et al. (2006) Science, 313, 1426–1428
Harigane et al. (2011) EPSL, 302, 194–202
Machida et al. (2015) EPSL, 426, 267–279
Machida et al. (2017) Nat Comms, 8, 14302
Mikuni et al. (in revision)
Müller et al. (2008) GGG, 9, Q04006.
Pilet et al. (2016) Nat Geosci 9, 898–903
Warren (2016) Lithos, 248–251, 193–219.
Yamamoto et al. (2014) Geology, 42, 967–970
プチスポット火山は沈み込む海溝手前の日本海溝沖やマリアナ海溝沖で活動するアルカリマグマであり, 希ガス同位体組成や複数相飽和実験, 化学組成や噴出場などの情報からプレート直下アセノスフェア由来のマグマ活動とされている. そのため, プチスポット火山岩に包有される深部由来捕獲岩は, 我々が手にすることができる有用な古い海洋プレート物質であると言える (Hirano et al., 2006; Machida et al., 2015, 2017) . また, プチスポットの捕獲岩はソレアイト質玄武岩, ドレライト, 斑レイ岩, ケイ長質岩, スピネルカンラン岩, ザクロ石 (シンプレクタイト) カンラン岩まで多様性があり, プレート層序を網羅することができる上に, マグマ交代作用などを示唆する超苦鉄質捕獲岩も報告されており, 海洋プレートの改変過程を明らかにすることができる潜在性も持ち合わせている (Hirano et al., 2006; Harigane et al., 2011; Yamamoto et al., 2014; Pilet et al., 2016; Mikuni et al., in revision).
我々は北西太平洋海域および南鳥島南東部のプチスポット火山から発見された, 長石や石英から構成されるケイ長質捕獲岩に着目し, 岩石記載と鉱物化学組成分析を行った. 約3 Maに噴出した南鳥島南東部のプチスポット小海丘に含まれるケイ長質捕獲岩は, 長石が卓越し, 曹長石から灰曹長石組成のものやカリウムに富む組成を示すものまで広い組成範囲を示した. また, 母岩マグマと反応した部分はカルシウムに富む傾向が見られた. 一方で, 北西太平洋海域のプチスポット火山に包有されるケイ長質捕獲岩は長石と石英から成り, 長石は中性長石組成のものとサニディン組成のものが見られた. これらはそれぞれ1億4000万年前および1億6000万年前 (当時の拡大速度はそれぞれ60–70, 90–100 mm/年; Müller et al., 2008)の海洋プレート物質, 特に地殻の断片であると予想される. これらが東太平洋海膨ヘス・ディープ掘削孔U1415の岩石やオフィオライトなどで確認されている, 高速拡大海嶺下で形成された下部地殻に普遍的に見られる層状斑レイ岩のケイ長質部である可能性や, 掘削孔1256Dの斑レイ岩相に見られた石英を含む花崗岩質のグラノブラスティックダイクに類似するもの, あるいは地殻の再溶融現象によって形成された斜長石花崗岩 (いわゆるplagiogranite) である可能性が挙げられる. 本発表では, その起源について考察する. また, 本研究で扱う岩相に加えて, これまで報告されてきた玄武岩捕獲岩, 斑レイ岩およびドレライト捕獲岩やカンラン岩捕獲岩およびマグマ交代作用を示唆する超苦鉄質捕獲岩を併せ, 白亜紀からジュラ紀に形成された古い海洋プレートの岩相プロファイリングを試みる.
Hirano et al. (2006) Science, 313, 1426–1428
Harigane et al. (2011) EPSL, 302, 194–202
Machida et al. (2015) EPSL, 426, 267–279
Machida et al. (2017) Nat Comms, 8, 14302
Mikuni et al. (in revision)
Müller et al. (2008) GGG, 9, Q04006.
Pilet et al. (2016) Nat Geosci 9, 898–903
Warren (2016) Lithos, 248–251, 193–219.
Yamamoto et al. (2014) Geology, 42, 967–970