129th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Oral

G1-3. sub-Session 03

[2oral511-19] G1-3. sub-Session 03

Mon. Sep 5, 2022 1:30 PM - 3:45 PM oral room 5 (Build. 14, 402)

Chiar:Takeshi Yoshida, Hidekazu Yoshida, Shinji Takeuchi

3:00 PM - 3:15 PM

[G3-O-11] A study on middle and/or long-term forecasting volcanic events

Minori MATSUI1, *Koji UMEDA2 (1. Hirosaki University, 2. Graduate School of Science and Technology, Hirosaki University)

火山活動の中・長期的予測は,主に地質学的な手法が用いられており,対象とする火山の詳細な噴火史や噴火間隔と噴出量の規則性から(例えば,噴出量階段図),次の噴火の時期や規模の予測が行われている.同様のアプローチが原子力発電所に及ぼす火山活動の影響評価に用いられている.「原子力発電所の火山影響評価ガイド」(NRA,2013)によると,更新世に活動した火山のうち,最後の活動終了からの期間が,過去の最大休止期間より長い場合には,将来の活動可能性が十分に小さいと評価している.一方で,このガイドには数値基準が示されておらず,曖昧かつ恣意的な方法であるといった指摘もある(例えば,小山,2015).そのため,本研究ではNRAの火山影響評価ガイドの評価手法を日本列島の第四紀火山に適用し,どのような火山の活動可能性が十分に低いと評価されるかの検討を行った.実際の火山にこの評価を適用する場合,対象とする火山の詳細な噴火史の情報が限られる場合が多く,過去の最大休止期間を決めるための噴出量階段図がまとめられている日本列島の火山は56火山のみである(山元,2014).一方,過去の最大休止期間は,その火山の全体の活動期間を超えることはないことから,活動期間を最大休止期間と保守的に見做すことができる.今回は,活動期間と最終活動年代から現在までの期間を比較することにより,火山の活動可能性を評価した.なお,活動期間(活動開始年代と最終活動年代の差)は,「第四紀噴火・貫入活動データーベース」(AIST,2014)のうち年代信頼度Aで活動期間が計算できる307火山を対象とした.活動期間の最大は隠岐道後の238万年,最小は昭和新山の0.005万年,平均値は42.6万年,中央値は30万年であった.また,最終活動年代から現在までの期間が活動期間を上回るのが179火山,下回るのが128火山であった(図).このことから,対象の307火山の58%は,活動可能性が十分低い火山と評価された.活動可能性の高い火山と低い火山について,現在のマグマ活動を反映すると考えられる低周波地震の発生状況の違いを検討した.低周波地震のデータは,気象庁一元化震源カタログの低周波イベントのフラグのデータ(1997~2021年)を使用した.これによると,活動可能性が高いと評価された火山の近傍では,低周波地震が発生していること多いのに対して,活動可能性の低い火山の周辺には地震活動が殆ど認められなかった.
(引用文献) 原子力規制委員会(2013)原子力発電所の火山影響評価ガイド,26p.;小山真人(2015)原子力発電所の「新規制基準」とその適合性審査における火山影響評価の問題点,科学,85,182-193.;山元孝広(2014)日本の主要第四紀火山の積算マグマ噴出量階段図,地質調査総合センター資料集,no.613.;産業技術総合研究所地質調査総合センター(2014)第四紀噴火・貫入活動データーベース,https://gbank.gsj.jp/quatigneous/index_qvir.php