129th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Oral

G1-5. sub-Session 05

[2oral601-09] G1-5. sub-Session 05

Mon. Sep 5, 2022 1:30 PM - 3:45 PM oral room 6 (Build. 14, 403)

Chiar:Daisuke Sato, Hideaki NAGAMORI

1:45 PM - 2:00 PM

[G5-O-2] Stratigraphy and sedimentary environment of the Upper Jurassic-Lower Cretaceous in Kurosegawa Belt (Hinagu Belt), in the south part of Kumamoto prefecture

*Kohei KAWAKAMI1, Tetsuji ONOUE1 (1. Kyushu Univ.)

Keywords:Cretaceous, Kumamoto, Kurosegawa Belt, Kawaguchi Formation

西南日本外帯の黒瀬川帯からは,一部に陸棚石灰岩を伴うペルム系〜白亜系堆積岩類が古くから知られている.九州西部に分布する黒瀬川帯は,この堆積岩類の分布域に基づいて,北から宮地帯,日奈久帯,渋利帯,坂本帯の4帯に区分されている.このうち日奈久帯の白亜系層序は,松本・勘米良(1964)によって詳しい研究がなされ,下位から川口層,八竜山層,日奈久層,八代層がほぼ南から北に向かって,整合または非整合で,帯状配列することが明らかにされている.その後,田代ほか(1994)の調査により,松本・勘米良(1964)の調査地域の南西部にあたる田浦-日奈久地域の日奈久帯白亜系は,北東-南西方向に伸びる断層によって南北の2帯にわけられることが主張された.この研究では,断層の南側に主に分布する黒崎層と川口層から,ジュラ紀〜前期白亜紀の年代を示す二枚貝化石が報告されている.しかしながら,田浦-日奈久地域に分布する黒崎層・川口層の詳しい堆積年代や堆積環境については詳しい研究が進んでおらず,模式地の川口層との岩相層序に関する対比も十分に行われていない.そこで,本研究では,田浦-日奈久地域に分布する上部ジュラ系~下部白亜系について,それらの堆積環境と詳細な地質年代を明らかにすることを目的として,研究を行った.
 調査範囲は,熊本県芦北町太田海岸~八代市二見洲口町までを対象とし,現地にてルートマップ,地質図,柱状図を作成した.さらに,頁岩,石灰岩,チャートの試料採取を行い,微化石を抽出することで,地質年代の決定を試みた.
 調査の結果,調査地域の岩相層序は,下位より(1)主に頁岩・砂岩で構成されている小崎層,(2)砂岩頁岩互層からなる黒崎層,(3)アルコース質の礫岩・砂岩,および凝灰質な頁岩をともなう砂岩頁岩互層からなる川口層下部層,(4)砂岩頁岩互層・頁岩層からなる川口層上部層からなり,さらにみかけ上位には(5)中礫~大礫からなる礫岩層を基底にもつ砂岩層および頁岩層からなる地層(従来の宮地層)が累重していることが明らかになった.田代ほか(1994)では,川口層の上限は日奈久断層で境され,宮地層の礫岩と接するとされてきた.しかし,本研究では,田代ほか(1994)の日奈久断層の露頭を確認することができなかったため,川口層とみかけ上位の礫岩層との接触関係を明らかにすることはできなかった.川口層の地質年代については,黒崎,および川口層から採取してきた29試料の処理を済ませたが,年代決定に有効な放散虫化石の発見には至っていない.川口層の堆積環境については,HCS砂岩や炭質物を含む凝灰質頁岩が観察される下部層から,砂岩頁岩互層を経て,頁岩層へと上方細粒化している層序が確認されたことから,波浪の影響を受ける沿岸域から,より沖合への堆積環境へと変化したことが考えられる.

引用文献
田代 正之,田中 均,坂本 伝良,高橋 努,1994.九州南西部田浦・日奈久地域の白亜系,高知大学学術研究報告 第43巻,自然科学,69-78
松本 達郎,勘米良 亀齢,1964.日奈久5万分の1地質図幅説明書,地質調査所,1-147