129th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Oral

G1-5. sub-Session 05

[2oral601-09] G1-5. sub-Session 05

Mon. Sep 5, 2022 1:30 PM - 3:45 PM oral room 6 (Build. 14, 403)

Chiar:Daisuke Sato, Hideaki NAGAMORI

2:15 PM - 2:30 PM

[G5-O-4] On the Cretaceous Granitoids distributed in the Back-born mountains Northen NE Japan

*Yukio FUJIMOTO1 (1. Akita Associ. of Educational Earth Science )

Keywords:Kitakami zone Cretaceous granitoid , Abukuma zone Cretaceous granitoid, Mylonitic granitoid, Onikobe-Yuzawa Mylonite zone

この地域の白亜紀花崗岩類は田沢湖東方の生保内岩体(加納・ 小林,1979)を北端に鳴子地域まで点在して分布する(永広ほか, 1989).このうち生保内、湯田ダム、焼石岳南は既に報告した( 藤本,2013).今回は生保内岩体の補足および南方の湯田ダム岩 体との間に点在する花崗岩類,鳴子地域の北北西にあたる湯沢市 東鳥海山周辺の花崗岩類について報告し,生保内・焼石岳南を含 めて地体構造上の位置について検討する.
1. 生保内岩体:東西をNNE方向の左雁行とNNW方向右雁行 配列する断層に挟まれ,南北に延びて分布する.中粒~粗粒普通 角閃石黒雲母花崗閃緑岩を主とする東部岩体と西部岩体の間に 中粒~粗粒黒雲母花崗岩を主とする中央部岩体が貫入関係で分布 する.東部岩体は中央部と南東端に黒雲母片麻岩~片岩・角閃岩 の500×1500mサイズの捕獲岩体を伴い,前者はNNE,後者は NNWに延びた形態を示す.東部 岩体の鉱物配列による面構造は,北部のENE走向S傾斜から 中央部~南部のNNW~NS走向E傾斜と変化し,南東に開いた ベーズン状構造をなす.線構造はベーズン状構造の軸部に向かうものが多い.北西部シトナイ川下流域で粗粒トーナル 岩が分布し,帯磁率が部分的に高い(15.4SI)がベーズン構造の 内側に相当する北東部では明白色の中粒花崗閃緑岩が分布し帯 磁率は低い(0.27~3.67SI).中央部以南では0.32~0.45SIの帯 磁率を示す.中央部岩体は北西部から南部にかけて広く分布し, 塊状であるが東部岩体との接触部では強片状を呈してK長石の 眼球状結晶が見られる.帯磁率は中央部で0.24~2.55SIと低いが 周縁部の北部と南部で4.15~4.97SIとやや高くなる.西部岩体は 西部と南端部にNW方向の面構造を示して狭く分布する.
2.沢内村南川舟東方の花崗岩類:生保内岩体の南東6kmの南川舟 地区東方には小杉沢中流と湯ノ沢中~上流に中粒普通角閃石黒雲母 花崗閃緑岩が分布する.小杉沢中流ではNNW走向38~65°E傾斜 の面構造を示し,普通角閃石の配列による線構造はNNW~Nに5 ~12°落としている.帯磁率は0.37~2.81SIを示す.湯ノ沢中~上流ではWNW~EW走向35~56°N傾斜の面構造を示す強片状中粒 普通角閃石黒雲母花崗閃緑岩が分布し,上流部ではNE走向38 ~65°NW傾斜に変化する.この強片状岩相は鏡下で斜長石の半自形結晶を取り巻く黒雲母と再結晶石英のバンドが認められ,プロトマイロナイト~マイロナイトの特徴を示す.東のNE走向から西のWNW~EW走向に収斂して強片状化することから,マイロナイトの北が東にずれる右横ずれ変位が推定できる.湯ノ沢の南4kmの七内川上流には中粒普通角閃石黒雲母花崗閃緑岩と中~細粒普通角閃石黒雲母花崗閃緑岩が分布し,前者は13.8,後者は5.89,25.3SIの帯磁率を示す.
3. 東鳥海山周辺の花崗岩類:笹田(1985)による鬼首-湯沢マイロ ナイト帯を挟んで西側には片麻岩~片岩・角閃岩を伴う花崗閃緑岩とそれを貫く黒雲母花崗岩が分布する.東側には普通角閃石黒雲母花崗閃緑岩が分布し,マイロナイト帯はプロトマイロナイト~ウルトラマイロナイトだが,東鳥海山周辺ではマイロナイト面構造がNNE~NEを示し,マイロナイト帯の北東方向への変化を示唆している.
 随伴する変成岩・帯磁率・化学組成から生保内岩体は阿武隈帯の花崗岩類に,湯田ダム岩体と焼石岳南岩体は南部北上帯に対比できる. 帯磁率から沢内村に点在する花崗岩類は湯ノ沢上流のマイロナイト質花崗岩類以北は生保内岩体の延長部に,以南は湯田ダム岩体と同様,南部北上帯の花崗岩類に対比可能である.湯ノ沢のマイロナイト質花崗岩類は畑川破砕帯の東にシフトしての北方延長(久保ほか,2003)を担った一部と考えられる.
引用文献
永広昌之・蟹沢聡史・丸山孝彦(1989)日本の地質「東北地
方」第2 章,中・古生界,66-70.
藤本幸雄(2013)日本地質学会120年大会講演要旨.62p.
加納 博・小林治朗(1979)秋田大学地下資源開発研究報     告,45,77-88.
久保和也・柳沢幸夫・山元孝弘・駒澤正夫・広島俊男・須藤   定久(2003)20万分の1地質図幅「福島」.産総研.
笹田正克(1985)地質雑,91,1-17.