129th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Oral

G1-5. sub-Session 05

[2oral601-09] G1-5. sub-Session 05

Mon. Sep 5, 2022 1:30 PM - 3:45 PM oral room 6 (Build. 14, 403)

Chiar:Daisuke Sato, Hideaki NAGAMORI

3:15 PM - 3:30 PM

[G5-O-8] Diagenesis of the Neogine sedimentary rocks in the Akita region, examined by carbonate nodules

*Osamu NISHIKAWA1, Kaoru Nagai, Daizo ISHIYAMA2 (1. Mineral Industry Museum, Akita University, 2. Akita University)

Keywords:Neogene, carbonate nodule, dagenesis

はじめに
秋田地域に広く分布する新第三系海成堆積岩類は,多くの炭酸塩ノジュールを含んでいる.炭酸塩ノジュールは,続成初期に極めて短期間で生成されると考えられている(Yoshida et al., 2015など).また,細粒な炭酸塩粒子が硬く緻密な組織を形成するため,ノジュールの中では圧密や溶解沈殿反応が抑制されている (西川ほか, 2020).このように,炭酸塩ノジュールは,堆積物の堆積後間もない時期の状態を保持しているため、組織や組成を母岩と比較することで,続成作用前後の堆積物の変化を定量的に議論することができる.著者らは,これまで秋田・庄内地域において,ノジュールを用いた堆積物の圧密量の見積もりや(西川, 2017),ノジュールを形成する鉱物相や酸素・炭素同位体組成,Sr同位体組成について報告してきた(安東ほか,2015;西川ほか,2018).本研究では,秋田地域の新第三系に産する炭酸塩ノジュール及び同層準の母岩の粒径分布,粒子構成及び化学組成を調べ,岩相の違いに及ぼす堆積物の供給源の変化と続成作用の影響について検討した.
試料と方法
秋田地域の3か所(太平山南麓地区,岩城地区,矢島・鳥海地区)で,新第三系最下部から上部(権現山層・女川層・船川層・天徳寺層)の炭酸塩ノジュールおよび同層準の母岩を採取し,粒度,粒子構成,鉱物組成,全岩化学組成および有機炭素量を比較した. 固結度の低い母岩や希塩酸処理で炭酸塩が除去できるノジュールについては,構成粒子を単離した.分解が困難な固結した岩石については、薄片を作成した。
結果と考察
珪藻や放散虫殻などの生物源粒子は、続成過程で船川・天徳寺層で約40%~50%,権現山層や女川層では80%以上が溶解している.全岩化学組成の変化は続成前後でほとんど認められないことから,溶解した物質はほとんど移動せず再沈殿していると考えられる.女川層と船川層の境界を挟んで、Al2O3が増加傾向を示す.粒子構成では秋田堆積盆北中部の太平山南麓では、火山ガラスの量が激増する一方、西部の岩城地区では大きな変化は認められない。秋田地域では,8.5Maを境に火成活動が活発化し、横手盆地北縁部では,安山岩質~デイサイト質のテフラが大量に噴出した(周藤, 2009など).女川層硬質泥岩から船川層塊状暗灰色泥岩への岩相変化は従来指摘されていた後背地の隆起による砕屑物の増加だけで無く,火山活動の活発化による火山砕屑物の増加も大きく寄与していると考えられる. 有機炭素量は,西部の岩城地区の女川層で非常に高い値を示す.また,全域で炭酸塩ノジュールは母岩に比べて有機炭素を多量に含んでいる.このことから,炭酸塩ノジュールの有機炭素はほとんど移動しておらず,続成前の堆積物に含まれる有機炭素量が保持されていると考えられる.
文献:
安東大輝ほか, 2015. 日本地質学会学術大会(長野)講演要旨.122.
西川 治, 2017. 日本地質学会学術大会(松山)講演要旨.124.
西川 治ほか, 2018. 日本地質学会学術大会(札幌)講演要旨.125.
西川 治ほか, 2020. 地質学雑誌,126,53-69.
周藤賢治,2009. 東北日本弧―日本海の拡大とマグマの生成―, 252p.
Yoshida, H., et al.,2015. Sci. Rep., 5, 14123.