10:45 AM - 11:00 AM
[G7-O-4] Crustal movements in the upper plate offshore Tohoku region to be elucidated from shallow subbottom structures
Keywords:Japan Trench, Forearc slope region, Seismic reflection survey, Subbottom profiler survey, Bathymetric survey
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(MW 9.0)の発生に伴い、東北地方をはじめとする東日本の地域では活発な余震活動や地殻変動である余効変動が継続して発生していることが知られている(例えばYamagiwa et al., 2015)。Arai et al.(2014)による反射断面の研究から、東北沖の陸側プレート(以下、上盤プレート)で数10 kmのスケールの小規模な凹地状の堆積盆が見つかっている。前弧斜面域では2011年地震後の余効変動に起因する新たな地質変動が生じていることが予測される。ただし、当該海域を含めて、日本海溝での海底地形もしくは海底下浅部構造から現在発生している余効変動の影響を捉えた研究事例は未だにない。そのため、本研究では巨大地震に起因した地質変動と現在進行する前弧斜面域の変動を明らかにすることを目的に、前弧斜面域に点在するisolated basinの地質構造に着目して,2011年地震後の余効変動に起因する新たな変動の検出とisolated basinの構造的特徴の解明を試みた。
本研究では、2017年の新青丸KS-17-8次航海,2018年の白鳳丸KH-18-1次航海,および2020年の白鳳丸KH-20-10航海で取得した海底地形データ,反射法地震探査データ,及びサブボトムプロファイラー(SBP)探査を使用した。このうち,2017年の新青丸KS-17-8次航海でのSBP探査結果では北緯39度以南と以北の堆積盆にて高密度探査を行い、表層構造の比較を行った。また、反射法地震探査データは地震前後の地質構造変化を抽出するべく、2005年と2007年と同じ探査測線にて調査を行った。
Isolated basin における2011年地震前後での変動に関し、反射断面の比較の結果から、反射断面スケールの大きな構造変化は確認されなかった。ただし、堆積層の層厚と規模に関しては北緯39度周辺を境界として層厚の明瞭な違い及び不整合面の枚数の違いが確認できた。この結果は前弧斜面域の沈降が一様ではないことを示唆する。次にisolated basinにおける地震後の前弧斜面域の変動に関して、2017年および2020年にSBP探査の結果から、北緯39度以北に位置する堆積盆では部分的に海底まで到達した正断層が発達することが明らかになった。この結果は前弧斜面域での局所的な沈降運動の存在を指し示すものと考えられる。海溝軸部分・前弧斜面域の変動に関して、白鳳丸KH-20-10航海で行った海底地形観測結果とFujiwara et al. (2011)の結果を比較した。その結果、Fujiwara et al.(2011)測線においては地震後の余効変動は明瞭ではなかった。一方、これまで報告されていた地震前後の変動がより空間的な広がりを持つこと、更に前弧斜面域のMiddle slope terrace部分にてこれまで報告のない10 mを超える大きな沈降を確認した。 本発表では、複数航海で取得されたデータに基づく東北沖前弧斜面域での研究成果を紹介する。
<引用文献>
Arai, K. et al. (2014). Episodic subsidence and active deformation of the forearc slope along the Japan Trench near the epicenter of the 2011 Tohoku Earthquake. EPSL, 408, 9-15. Fujiwara, T. et al. (2011). The 2011 Tohoku-Oki earthquake: Displacement reaching the trench axis. Science, 334(6060), 1240-1240.
Yamagiwa, S. et al. (2015). Afterslip and viscoelastic relaxation following the 2011 Tohoku‐oki earthquake (Mw9. 0) inferred from inland GPS and seafloor GPS/Acoustic data. GRL, 42(1), 66-73.
本研究では、2017年の新青丸KS-17-8次航海,2018年の白鳳丸KH-18-1次航海,および2020年の白鳳丸KH-20-10航海で取得した海底地形データ,反射法地震探査データ,及びサブボトムプロファイラー(SBP)探査を使用した。このうち,2017年の新青丸KS-17-8次航海でのSBP探査結果では北緯39度以南と以北の堆積盆にて高密度探査を行い、表層構造の比較を行った。また、反射法地震探査データは地震前後の地質構造変化を抽出するべく、2005年と2007年と同じ探査測線にて調査を行った。
Isolated basin における2011年地震前後での変動に関し、反射断面の比較の結果から、反射断面スケールの大きな構造変化は確認されなかった。ただし、堆積層の層厚と規模に関しては北緯39度周辺を境界として層厚の明瞭な違い及び不整合面の枚数の違いが確認できた。この結果は前弧斜面域の沈降が一様ではないことを示唆する。次にisolated basinにおける地震後の前弧斜面域の変動に関して、2017年および2020年にSBP探査の結果から、北緯39度以北に位置する堆積盆では部分的に海底まで到達した正断層が発達することが明らかになった。この結果は前弧斜面域での局所的な沈降運動の存在を指し示すものと考えられる。海溝軸部分・前弧斜面域の変動に関して、白鳳丸KH-20-10航海で行った海底地形観測結果とFujiwara et al. (2011)の結果を比較した。その結果、Fujiwara et al.(2011)測線においては地震後の余効変動は明瞭ではなかった。一方、これまで報告されていた地震前後の変動がより空間的な広がりを持つこと、更に前弧斜面域のMiddle slope terrace部分にてこれまで報告のない10 mを超える大きな沈降を確認した。 本発表では、複数航海で取得されたデータに基づく東北沖前弧斜面域での研究成果を紹介する。
<引用文献>
Arai, K. et al. (2014). Episodic subsidence and active deformation of the forearc slope along the Japan Trench near the epicenter of the 2011 Tohoku Earthquake. EPSL, 408, 9-15. Fujiwara, T. et al. (2011). The 2011 Tohoku-Oki earthquake: Displacement reaching the trench axis. Science, 334(6060), 1240-1240.
Yamagiwa, S. et al. (2015). Afterslip and viscoelastic relaxation following the 2011 Tohoku‐oki earthquake (Mw9. 0) inferred from inland GPS and seafloor GPS/Acoustic data. GRL, 42(1), 66-73.