2:00 PM - 2:15 PM
[T13-O-14] Application example of the mixed reality (MR) technologies used for the 3D Geological and Geotechnical models
Keywords:3D model, BIM/CIM, Mixed Reality technology, Urban Geology
現在、国土交通省ではインフラ分野のDXを強力に推進し,インフラのデジタル化,BIM/CIM活用,3次元データやリアルデータを活用した新技術の開発等を掲げている[1]。本発表では,XR技術の一つである複合現実(Mixed Reality: MR)技術を使った3次元地質地盤モデルへの活用事例を紹介する。
複合現実(MR)技術とは,現実空間に対応する仮想3Dデータをホログラムとして映し,現実世界と仮想世界を融合させる技術であり,このような仮想現実技術(AR・MR・VR)を総称してXR技術とよばれている。今回,米国マイクロソフト社が開発したHoloLens2を用いて,3D地質地盤モデルへのMR技術の適用を試行した。
試行例①は,砂防堰堤とその地下地盤からなる3次元モデルに対して3Dホログラム表示を行った例である。本3Dモデルのホログラムでは,手指により3Dモデルの砂防堰堤や各地層を直接動かすことができ,地下地盤の地層構成を直感的に確認・観察することができる。
試行例②は,落石発生源の3D露頭モデルをホログラム表示した例である。本モデルは,実際の露頭付近で数十枚以上の写真撮影を行ったうえで,フォトグラメトリーソフトを用いて3Dデータとして作成した。本3D露頭モデルを用いることで,技術者や有識者が急峻で足元が危険な現場に行くことなく,室内で安全に落石源の露頭状況を確認・判断・評価することが可能である。
試行例③は,AISTの地質調査総合センターが公開している東京都区部の3次元地質地盤図[2]に対し、今回3Dホログラム表示を試行した。なお、3Dデータは現在のWebGL仕様となる前にダウンロードしたものを用いている。また,3Dデータの位置合わせは,AISTの3次元地質地盤図内のボーリングデータと東京都土木技術支援・人材育成センターで公表されている「東京の地盤(GIS版)」[3]と同一のボーリングデータの位置情報を用いて実施している。東京都江東区亀戸付近(地区番号1008)の3次元地質地盤図(立体図)モデルをホログラム表示した結果,ホログラム版はオリジナル版と同様に地表面と沖積層基底面のサーフェスと多数の3Dボーリングが表示されるが,岩相や深度情報等の属性情報が直接確認できない。一方で,本モデルのホログラム表示を行うことで,江東区東部の沖積層基底面が相対的に低いことが,よりリアルに体感できる。さらに,3D都市モデルを提供するPlateau[4]データをランドマークとして利用することで,東京都市部の地下地盤状況を3Dホログラムとしてリアルに体験することができる。
今回紹介したMR技術を使った3D地質地盤モデルは,地下の地質地盤状況を直感的に理解することが可能であるとともに,地質学分野の様々な研究領域(自然科学,応用地質,アウトリーチ等)に対して幅広く適用可能と考えられる。
文献
[1] 国土交通省「インフラ分野のDXに向けた取組紹介」
(URL: https://www.mlit.go.jp/tec/content/200729_03-2.pdf) (2022年6月27日閲覧)
[2] 産総研地質調査総合センター・東京都土木技術支援・人材育成センター(2021)都市域の地質地盤図「東京都区部」
(URL: https://gbank.gsj.jp/urbangeol/ja/map_tokyo/index.html)(2021年5月26日閲覧)
[3] 東京都土木技術支援・人材育成センター「東京の地盤(GIS版)」(2014.05.01一部更新)
(URL: https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/tech/start/03-jyouhou/geo-web/00-index.html)(2022年6月27日閲覧)
[4] 国土交通省「PLATEAU」
(URL: https://www.mlit.go.jp/plateau/)(2022年6月27日閲覧)
複合現実(MR)技術とは,現実空間に対応する仮想3Dデータをホログラムとして映し,現実世界と仮想世界を融合させる技術であり,このような仮想現実技術(AR・MR・VR)を総称してXR技術とよばれている。今回,米国マイクロソフト社が開発したHoloLens2を用いて,3D地質地盤モデルへのMR技術の適用を試行した。
試行例①は,砂防堰堤とその地下地盤からなる3次元モデルに対して3Dホログラム表示を行った例である。本3Dモデルのホログラムでは,手指により3Dモデルの砂防堰堤や各地層を直接動かすことができ,地下地盤の地層構成を直感的に確認・観察することができる。
試行例②は,落石発生源の3D露頭モデルをホログラム表示した例である。本モデルは,実際の露頭付近で数十枚以上の写真撮影を行ったうえで,フォトグラメトリーソフトを用いて3Dデータとして作成した。本3D露頭モデルを用いることで,技術者や有識者が急峻で足元が危険な現場に行くことなく,室内で安全に落石源の露頭状況を確認・判断・評価することが可能である。
試行例③は,AISTの地質調査総合センターが公開している東京都区部の3次元地質地盤図[2]に対し、今回3Dホログラム表示を試行した。なお、3Dデータは現在のWebGL仕様となる前にダウンロードしたものを用いている。また,3Dデータの位置合わせは,AISTの3次元地質地盤図内のボーリングデータと東京都土木技術支援・人材育成センターで公表されている「東京の地盤(GIS版)」[3]と同一のボーリングデータの位置情報を用いて実施している。東京都江東区亀戸付近(地区番号1008)の3次元地質地盤図(立体図)モデルをホログラム表示した結果,ホログラム版はオリジナル版と同様に地表面と沖積層基底面のサーフェスと多数の3Dボーリングが表示されるが,岩相や深度情報等の属性情報が直接確認できない。一方で,本モデルのホログラム表示を行うことで,江東区東部の沖積層基底面が相対的に低いことが,よりリアルに体感できる。さらに,3D都市モデルを提供するPlateau[4]データをランドマークとして利用することで,東京都市部の地下地盤状況を3Dホログラムとしてリアルに体験することができる。
今回紹介したMR技術を使った3D地質地盤モデルは,地下の地質地盤状況を直感的に理解することが可能であるとともに,地質学分野の様々な研究領域(自然科学,応用地質,アウトリーチ等)に対して幅広く適用可能と考えられる。
文献
[1] 国土交通省「インフラ分野のDXに向けた取組紹介」
(URL: https://www.mlit.go.jp/tec/content/200729_03-2.pdf) (2022年6月27日閲覧)
[2] 産総研地質調査総合センター・東京都土木技術支援・人材育成センター(2021)都市域の地質地盤図「東京都区部」
(URL: https://gbank.gsj.jp/urbangeol/ja/map_tokyo/index.html)(2021年5月26日閲覧)
[3] 東京都土木技術支援・人材育成センター「東京の地盤(GIS版)」(2014.05.01一部更新)
(URL: https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/tech/start/03-jyouhou/geo-web/00-index.html)(2022年6月27日閲覧)
[4] 国土交通省「PLATEAU」
(URL: https://www.mlit.go.jp/plateau/)(2022年6月27日閲覧)