4:15 PM - 4:30 PM
[G8-O-3] Construction of a risk model for the possibility of collapse and landslide
Keywords:Collapse, Landslide, Coefficient of friction ratio, Ground ratio, Risk potential
1.はじめに
広域に多数の斜面が分布する中で,どの斜面・地域で崩壊・地すべりが発生するのか,その発生可能性のポテンシャルを斜面がどの程度有しているのかを視覚化して明示することは直接的に社会貢献となりうる.
2.研究手法
対象地域を1区画の1辺が約1kmのメッシュ区画(80×80)のレイヤーをベースに,各区画における地形要素,地質要素の各レイヤーに対して,全6,400区画で数値化を行った.
地形要素は,現状斜面を基盤地図情報数値標高モデル10mメッシュから傾斜区分図を作成し摩擦係数を導いた.また,起伏量図(「長野県」「岐阜県」「愛知県」)から各区画に想定した仮想斜面の安定性を示す仮想摩擦係数を算出し,これらの大小によって安定性を評価する摩擦係数比を導入して数値化した.
地質要素は,岩盤の破壊を考慮して,岩種別の一軸圧縮強度を断層数,割れ目数で補正した補正強度を求め,それを単位体積重量と風化厚さで除して算出される地山強度比を適用して数値化した.岩種は地質調査総合センター(2017)20万分の1日本シームレス地質図,一軸圧縮強度は土木学会(1986)と小島(1992),断層は地質調査総合センター(2012)活断層データベース,割れ目数は瑞浪や幌延の超深地層研究成果(吉田(2013)他全13本)及び現地調査,単位体積重量は巖谷・鹿野(2005)他全12本,風化厚さは川崎・伊藤(2013)及び久慈ほか(2013)を参考とした.
これらの数値化したデータは,各レイヤーの区画に入力を行い,地形要素から求めた摩擦係数比と地質要素から求めた地山強度比の乗数を発生リスクポテンシャル指数として算出した.
最終的に発生リスクポテンシャル指数をA~Fの6段階にランク分けして発生可能性リスクモデルとした.
3.結果
2009年以降に発生した個別事例19例の検証では,すべてCランク以上で発生していた.このうち12例でランクの変更なし,3例でランク上昇,4例でランク下落であった.ランク上昇した事例の内,1例はランクBで鉄道不通・田畑流出・家屋損壊,1例はランクCで国道不通とそれぞれ甚大な災害であった.
今後,機械学習のアルゴリズムの検証方法を参考に,モデルのさらなる妥当性を検証し,改良する必要がある.
主な文献
国土庁土地局(1974)「長野県」.国土庁土地局(1975)「岐阜県」.国土庁土地局(1974)「愛知県」. 地質調査総合センター(2012)活断層データベース.地質調査総合センター(2017)20万分の1日本シームレス地質図. 土木学会(1986)ダムの地質調査.土木学会,219.小島圭二(1992),土木学会,1-8. 吉田(2013)日本原子力学会バックエンド部会,46p.巖谷・鹿野(2005) 地質雑,111,434-437. 川崎・伊藤(2013)国総研資料,733,2539. 久慈ほか(2013)JAEA-Technology,2013-022,72.
DEM10のURL: https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-G04-a.html
広域に多数の斜面が分布する中で,どの斜面・地域で崩壊・地すべりが発生するのか,その発生可能性のポテンシャルを斜面がどの程度有しているのかを視覚化して明示することは直接的に社会貢献となりうる.
2.研究手法
対象地域を1区画の1辺が約1kmのメッシュ区画(80×80)のレイヤーをベースに,各区画における地形要素,地質要素の各レイヤーに対して,全6,400区画で数値化を行った.
地形要素は,現状斜面を基盤地図情報数値標高モデル10mメッシュから傾斜区分図を作成し摩擦係数を導いた.また,起伏量図(「長野県」「岐阜県」「愛知県」)から各区画に想定した仮想斜面の安定性を示す仮想摩擦係数を算出し,これらの大小によって安定性を評価する摩擦係数比を導入して数値化した.
地質要素は,岩盤の破壊を考慮して,岩種別の一軸圧縮強度を断層数,割れ目数で補正した補正強度を求め,それを単位体積重量と風化厚さで除して算出される地山強度比を適用して数値化した.岩種は地質調査総合センター(2017)20万分の1日本シームレス地質図,一軸圧縮強度は土木学会(1986)と小島(1992),断層は地質調査総合センター(2012)活断層データベース,割れ目数は瑞浪や幌延の超深地層研究成果(吉田(2013)他全13本)及び現地調査,単位体積重量は巖谷・鹿野(2005)他全12本,風化厚さは川崎・伊藤(2013)及び久慈ほか(2013)を参考とした.
これらの数値化したデータは,各レイヤーの区画に入力を行い,地形要素から求めた摩擦係数比と地質要素から求めた地山強度比の乗数を発生リスクポテンシャル指数として算出した.
最終的に発生リスクポテンシャル指数をA~Fの6段階にランク分けして発生可能性リスクモデルとした.
3.結果
2009年以降に発生した個別事例19例の検証では,すべてCランク以上で発生していた.このうち12例でランクの変更なし,3例でランク上昇,4例でランク下落であった.ランク上昇した事例の内,1例はランクBで鉄道不通・田畑流出・家屋損壊,1例はランクCで国道不通とそれぞれ甚大な災害であった.
今後,機械学習のアルゴリズムの検証方法を参考に,モデルのさらなる妥当性を検証し,改良する必要がある.
主な文献
国土庁土地局(1974)「長野県」.国土庁土地局(1975)「岐阜県」.国土庁土地局(1974)「愛知県」. 地質調査総合センター(2012)活断層データベース.地質調査総合センター(2017)20万分の1日本シームレス地質図. 土木学会(1986)ダムの地質調査.土木学会,219.小島圭二(1992),土木学会,1-8. 吉田(2013)日本原子力学会バックエンド部会,46p.巖谷・鹿野(2005) 地質雑,111,434-437. 川崎・伊藤(2013)国総研資料,733,2539. 久慈ほか(2013)JAEA-Technology,2013-022,72.
DEM10のURL: https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-G04-a.html