129th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Poster

G1-1.sub-Session 01

[7poster19-28] G1-1.sub-Session 01

Sat. Sep 10, 2022 10:30 AM - 12:30 PM poster (poster)

[G1-P-6] (Entry) Effects of layer strength on shear band style in sandbox accretionary wedges: Analysis using X-ray computed tomography

*Takami Tachibana1, Satoshi Tonai1, Yasuhiro Yamada2 (1. Kochi Univ, 2. kyushu Univ)


プレートの沈み込み帯に形成される付加体ウェッジは,多数のせん断帯が形成されることが特徴である.せん断帯はウェッジの変形様式や流体の流れを制御しており,その形成機構は極めて重要である.砂箱実験による先行研究では,典型的なウェッジの形状とせん断帯のパターンが報告されている.本研究では,充てん方法や材質を変え初生的な強度構造が異なる砂層を用意し,変形様式のバリエーションについて検討した.付加体ウェッジは,底面シートを敷いたアクリル製の箱(118 mm×693 mm×158 mm)に乾燥砂(厚さ約16 mm)を充てんし,シートを箱から引き出して砂層を変形させて作った.シートの水平変位は250 mmとした.実験に用いた砂層は,(A)空中落下で充てんした豊浦珪砂層,(B)流し込みで充てんした豊浦珪砂層,(C)空中落下充てんのマイクロビーズ下層+空中落下充てんの豊浦珪砂上層,(D)空中落下充てんのマイクロビーズ下層+流し込み充てんの豊浦珪砂上層,の4種類である.それぞれの砂層についてX線コンピュータトモグラフィー(XCT)データをもとに強度構造を求めた.各実験における変形は連続写真で記録し,一部の実験ではXCTスキャンを行った. 実験の結果,付加体ウェッジの表面傾斜角は実験Aで最も大きくなり,実験B,C,D の順に傾斜角が小さくなった.また,実験Bでは実験Aよりもせん断帯の間隔が狭くなったが,これは流し込んだ砂層のひずみ弱化の程度が小さいためであると考えられる.実験CおよびDでは,バックスラストが明瞭に発達し,底面のマイクロビーズ層がデコルマとして変位した.CT画像からは,実験Aでは新たなせん断帯 (フロンタルスラスト)が形成される直前にデコルマの伝播が短期間で起こり,実験CやDでは新たなフロンタルスラストが形成されるかなり以前からデコルマの伝播が始まっている様子が見られた.これらの結果は,初生的な強度構造が付加体ウェッジのせん断帯間隔とデコルマの伝播様式に影響を与えることを示している. また,Cascadia,南海トラフ,Barbadosなどの現世の天然付加体ウェッジにおいても,実験で観察されたような構造の特徴が観察される.これらのウェッジの検層データと反射法地震探査データを比較すると,インプット堆積層の密度構造に違いがあること,ウェッジ部ではプロトデコルマの有無やバックスラストの発達具合に違いがあることがわかる.このことは,インプット堆積層の強度特性が天然の付加体ウェッジの変形様式にも影響を及ぼしている可能性を示唆している.