[G4-P-2] Practice of Education of Science Ethics on Natural Science Research of Senior High School
Keywords:Science Ethics, Research Ethics, Inquiry Activities
1 SSH指定の柱としての科学倫理教育
本校は令和2年から6年まで文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定を受けている。主な研究課題として「科学倫理教育のロールモデルの作成と全国への発信」がある。本校の科学倫理教育は、図のように定義している。大学に進学して初めて科学研究を行っていた時代と異なり、現在は高校生による科学研究が盛んに行われるようになった。しかし、研究に伴うはずの倫理に関する学びは体系化されておらず、様々な教育現場で模索が続けられている。
盗用や改ざんの禁止など、研究者や科学者だけでなく課題研究を行う高校生も守るべきルールは、最初にきちんと教えられなければならない。これは研究倫理と呼ばれ、地学基礎や理数探究基礎の教科書の中でも取り上げられている。これに対して、たとえば地球温暖化問題など、視点によって帰結する答えが異なるような問題に対して、データを集めて分析し、それをもとに考察することを科学倫理と呼んでいる。科学倫理は、自然科学を対象にした課題研究と同様に、主体的で対話的な探究活動に位置づけられる。将来科学に携わる者だけではなく、社会を構成する者すべてが科学技術を評価する必要があり、その意味ですべての生徒が、自然科学や科学技術について自ら情報を集め、主体的に判断することができるようになる必要がある。
2 科学倫理教育の具体的な取り組み
本校に入学してきた1年次生は、全員がグループによる課題研究に取り組み、一通りの探究活動を経験する。経験も知識も少ない生徒にとって、議論しながら進めることによって大きな成果を得ることができる。その後2年次生になると、4月に生徒自ら主体的に自然科学のテーマを設定し、本格的な課題研究を始める。7月になり、自然科学をテーマとする課題研究が進み始めると、テーマにしている自然科学に関連する科学倫理のテーマを設定し、科学倫理をテーマにした課題研究を並行して始める。資料として、筆者が出版した「科学倫理」を参考にする。
理系の生徒は「理数探究・科学倫理」2単位で、文系生徒も「総合的な探究の時間」1単位で実施する。各クラスは3名の教員によるチームティーチングを行う。すべての自然科学研究には科学倫理的な問題要素が含まれているため、これらを並行して同一の班メンバーで研究する。
公的機関が公表しているデータや先行研究を活用するだけではなく、生徒自らが校内外を問わずアンケートを取ることにより、データを収集し、それに基づいた議論をすすめる。得られた成果は、本校主催で開催するGirl’s Expo with Science Ethicsでポスターおよび口頭発表を行う。ここには科学倫理の専門研究者ら20名や大学院生らを招き、助言を得たり互いに議論したりする。さらに、得られた助言を取り入れて、自然科学研究論文集とともに科学倫理研究論文集としてまとめて公表する。
3 成果と課題
生徒は、マスコミやSNSの情報を鵜呑みにせず、自ら正しい情報を得て自ら判断することの重要性を認識し、また視点を変えることによって意見が異なることも知る。自然科学のテーマに必ず内包される科学倫理のテーマを掘り起こし、並行して研究するためには、指導助言する教員の力が不可欠である。テーマの設定や進め方、計画の立て方、発表や評価の仕方など、折に触れて「課題研究研修会」を繰り返し実施したり、困難をざっくばらんに話し合い情報を共有する「課題研究学習会」を定期的に開催するなどしており、徐々に学校をあげた探究活動に発展しつつある。
これらの成果は冊子にまとめて公表することによって、科学倫理教育のロールモデルの発信を行っている。ここに示したような課題研究の評価方法はまだ確立されておらず、課題研究をどのように評価するかが現在の課題である。
本校は令和2年から6年まで文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定を受けている。主な研究課題として「科学倫理教育のロールモデルの作成と全国への発信」がある。本校の科学倫理教育は、図のように定義している。大学に進学して初めて科学研究を行っていた時代と異なり、現在は高校生による科学研究が盛んに行われるようになった。しかし、研究に伴うはずの倫理に関する学びは体系化されておらず、様々な教育現場で模索が続けられている。
盗用や改ざんの禁止など、研究者や科学者だけでなく課題研究を行う高校生も守るべきルールは、最初にきちんと教えられなければならない。これは研究倫理と呼ばれ、地学基礎や理数探究基礎の教科書の中でも取り上げられている。これに対して、たとえば地球温暖化問題など、視点によって帰結する答えが異なるような問題に対して、データを集めて分析し、それをもとに考察することを科学倫理と呼んでいる。科学倫理は、自然科学を対象にした課題研究と同様に、主体的で対話的な探究活動に位置づけられる。将来科学に携わる者だけではなく、社会を構成する者すべてが科学技術を評価する必要があり、その意味ですべての生徒が、自然科学や科学技術について自ら情報を集め、主体的に判断することができるようになる必要がある。
2 科学倫理教育の具体的な取り組み
本校に入学してきた1年次生は、全員がグループによる課題研究に取り組み、一通りの探究活動を経験する。経験も知識も少ない生徒にとって、議論しながら進めることによって大きな成果を得ることができる。その後2年次生になると、4月に生徒自ら主体的に自然科学のテーマを設定し、本格的な課題研究を始める。7月になり、自然科学をテーマとする課題研究が進み始めると、テーマにしている自然科学に関連する科学倫理のテーマを設定し、科学倫理をテーマにした課題研究を並行して始める。資料として、筆者が出版した「科学倫理」を参考にする。
理系の生徒は「理数探究・科学倫理」2単位で、文系生徒も「総合的な探究の時間」1単位で実施する。各クラスは3名の教員によるチームティーチングを行う。すべての自然科学研究には科学倫理的な問題要素が含まれているため、これらを並行して同一の班メンバーで研究する。
公的機関が公表しているデータや先行研究を活用するだけではなく、生徒自らが校内外を問わずアンケートを取ることにより、データを収集し、それに基づいた議論をすすめる。得られた成果は、本校主催で開催するGirl’s Expo with Science Ethicsでポスターおよび口頭発表を行う。ここには科学倫理の専門研究者ら20名や大学院生らを招き、助言を得たり互いに議論したりする。さらに、得られた助言を取り入れて、自然科学研究論文集とともに科学倫理研究論文集としてまとめて公表する。
3 成果と課題
生徒は、マスコミやSNSの情報を鵜呑みにせず、自ら正しい情報を得て自ら判断することの重要性を認識し、また視点を変えることによって意見が異なることも知る。自然科学のテーマに必ず内包される科学倫理のテーマを掘り起こし、並行して研究するためには、指導助言する教員の力が不可欠である。テーマの設定や進め方、計画の立て方、発表や評価の仕方など、折に触れて「課題研究研修会」を繰り返し実施したり、困難をざっくばらんに話し合い情報を共有する「課題研究学習会」を定期的に開催するなどしており、徐々に学校をあげた探究活動に発展しつつある。
これらの成果は冊子にまとめて公表することによって、科学倫理教育のロールモデルの発信を行っている。ここに示したような課題研究の評価方法はまだ確立されておらず、課題研究をどのように評価するかが現在の課題である。