[G5-P-6] Propagation of seismic activity for off Japan Sea Coast 2019 June 18 M6.7, off Tohoku fore Arc 2021 February 13 M7.3 & 2022 March 16 M7.4 and Noto 2022 June 19 M5.4, and the relation of derailment of Shinkansen and seismogenic fault plane with focal mechanism.
【zoomによるフラッシュトーク有り】9/10(土)9:00-9:05
Keywords:CMT solution, Initial Motion solution, Seismic belt, seismogenic fault, derailment of Shinkansen
気象庁がHPで公表している発震機構解にはCMT(Centroid Moment Tensor)解と初動IM解および精査前の速報Prel解がある.東北日本弧にはCMT解が1994年9月から2812個,IM解が1997年10月から9937個あり,速報解は2011年4月から2865個ある.
これらの震源分布から東北日本弧に沿う11の震源帯と78の震源区に自動区分し,島弧地殻Mantle構造および歪場について解析を進めている.本講演では,東北前弧沖震源帯ofAcJ・東北日本海沿岸沖震源帯oJscJ・西南日本海沿岸震源帯JscPhを取り上げ地震活動の伝搬について述べる.
これらの震源帯の阿武隈震源区ofAcJAbk,出羽震源区oJscJDw,能登震源区JscPhNotoでは2016年以降静穏化していたが,2019年から2022年6月に被害地震が発生した.これらの震源区の積算地震断層面積は総地震断層面積を図幅に合わせたBenioff曲線で,2019年6月18日M6.7の最初の段,2021年2月13日M7.3の2つ目の大きな段,2022年3月16日の3つ目の大きな段が認められ,今回の地震活動の活発化は,2019年の最初の段から開始したことが分かる.最初の段が日本海Slab沈込によって開始され,太平洋Slabを抑え付けている東北前弧沖震源帯ofAcJと能登震源区JscPhNotoの活動を誘発し,阿武隈震源区ofAJAbkの2021年2月13日M7.3の2段目と2022年3月16日M7.4の3段目の活動に到り,能登震源区JscPhNotoの6月19日M5.4に及んだ(付図).
CMT解には地震断層開始点に対応する初動IM震源と主破壊に対応する主波源重心CMTのCMT震源が掲載されている.破壊の進展する面が断層面であるので,破壊開始点と主破壊点は地震断層面上に載る.また,中間N主歪軸も断層面に載ることから,地震断層面の走行・傾斜を算出できる.断層面に対する圧縮P・引張T主歪軸方位から断層型も決定できる(新妻2012).
阿武隈震源区ofAcJAbk2022年3月16日M7.4Pの主破壊のCMT震源は,IM震源から7㎞南東方(140°)の6㎞上に位置し,中間N主歪軸は194+2とほぼ水平で南南西であることから,地震断層面は走向192°傾斜49°と算出できる.この地震断層面は西方に傾斜する太平洋Slab上面下のMoho面付近に位置し,圧縮P主歪方位は西北西‐東南東方向水平104+0なので,西側の東北日本弧の上部Mantleが東南東にせり上がる逆断層になる.
P主歪軸に直交するT歪軸方位は9+88とほぼ垂直に近いことから,東北日本弧上部Mantleは地震断層運動で真上に突上げられる.新幹線の乗客によると肘掛を掴んでいないと体が浮き上がる程であったと報道されており,新幹線の車輪がこの突き上げによってrailから外れ脱線したのであろう.M7.4による住宅被害は約2万棟にも及んでいる.建物等の構造物は上載荷重によって安定化を計っているため,垂直突き上げには脆弱であり,今後の防災対策に地震断層面の方位と引張T主歪軸方位も加えた検討が必要である.
能登震源区の2022年6月19日M5.4+pが2019年6月8日M5.5Pより規模が小さいのに震度と被害が大きく上方への歪が大きかったのは2022年3月16日阿武隈震源区ofAcJAbkM7.4の島弧上部Mantleの上方突き上げが伝搬したと考えられる.
引用文献:新妻信明(2012)新妻地質学研究所速報,33,niitsuma-geolab.net/archives/1873
これらの震源分布から東北日本弧に沿う11の震源帯と78の震源区に自動区分し,島弧地殻Mantle構造および歪場について解析を進めている.本講演では,東北前弧沖震源帯ofAcJ・東北日本海沿岸沖震源帯oJscJ・西南日本海沿岸震源帯JscPhを取り上げ地震活動の伝搬について述べる.
これらの震源帯の阿武隈震源区ofAcJAbk,出羽震源区oJscJDw,能登震源区JscPhNotoでは2016年以降静穏化していたが,2019年から2022年6月に被害地震が発生した.これらの震源区の積算地震断層面積は総地震断層面積を図幅に合わせたBenioff曲線で,2019年6月18日M6.7の最初の段,2021年2月13日M7.3の2つ目の大きな段,2022年3月16日の3つ目の大きな段が認められ,今回の地震活動の活発化は,2019年の最初の段から開始したことが分かる.最初の段が日本海Slab沈込によって開始され,太平洋Slabを抑え付けている東北前弧沖震源帯ofAcJと能登震源区JscPhNotoの活動を誘発し,阿武隈震源区ofAJAbkの2021年2月13日M7.3の2段目と2022年3月16日M7.4の3段目の活動に到り,能登震源区JscPhNotoの6月19日M5.4に及んだ(付図).
CMT解には地震断層開始点に対応する初動IM震源と主破壊に対応する主波源重心CMTのCMT震源が掲載されている.破壊の進展する面が断層面であるので,破壊開始点と主破壊点は地震断層面上に載る.また,中間N主歪軸も断層面に載ることから,地震断層面の走行・傾斜を算出できる.断層面に対する圧縮P・引張T主歪軸方位から断層型も決定できる(新妻2012).
阿武隈震源区ofAcJAbk2022年3月16日M7.4Pの主破壊のCMT震源は,IM震源から7㎞南東方(140°)の6㎞上に位置し,中間N主歪軸は194+2とほぼ水平で南南西であることから,地震断層面は走向192°傾斜49°と算出できる.この地震断層面は西方に傾斜する太平洋Slab上面下のMoho面付近に位置し,圧縮P主歪方位は西北西‐東南東方向水平104+0なので,西側の東北日本弧の上部Mantleが東南東にせり上がる逆断層になる.
P主歪軸に直交するT歪軸方位は9+88とほぼ垂直に近いことから,東北日本弧上部Mantleは地震断層運動で真上に突上げられる.新幹線の乗客によると肘掛を掴んでいないと体が浮き上がる程であったと報道されており,新幹線の車輪がこの突き上げによってrailから外れ脱線したのであろう.M7.4による住宅被害は約2万棟にも及んでいる.建物等の構造物は上載荷重によって安定化を計っているため,垂直突き上げには脆弱であり,今後の防災対策に地震断層面の方位と引張T主歪軸方位も加えた検討が必要である.
能登震源区の2022年6月19日M5.4+pが2019年6月8日M5.5Pより規模が小さいのに震度と被害が大きく上方への歪が大きかったのは2022年3月16日阿武隈震源区ofAcJAbkM7.4の島弧上部Mantleの上方突き上げが伝搬したと考えられる.
引用文献:新妻信明(2012)新妻地質学研究所速報,33,niitsuma-geolab.net/archives/1873