129th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Poster

G1-8. sub-Session 08

[7poster41-44] G1-8. sub-Session 08

Sat. Sep 10, 2022 10:30 AM - 12:30 PM poster (poster)

[G8-P-4] Comparative and verification of UAV photogrammetric techniques for road slopes

*Moto Kawamata1, Katsuhito Agui1, Naohiro Sakamoto1, Toshiyuki Kurahashi1 (1. Civil engineering institute for cold region)


Keywords:Geohazards, Rockfall, Background subtraction method, SfM, UAV

北海道の沿岸には急崖斜面が多く分布し,岩盤崩壊や落石が多発している.急崖斜面沿いに国道その他保全対象物が存在する場所では,不安定な岩盤斜面や岩塊の所在の把握が必要である.そのため落石や岩盤崩壊といった斜面変状の把握や崩壊プロセスの推定に向けた,急崖斜面の効率的な斜面点検調査手法の構築が求められている.我々は,近年急速に普及している小型無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:以下UAV)により,同一地点から異なる時期に撮影した2枚の画像を重ね合わせた上でその色調差分から斜面変状箇所を抽出する「背景差分法」と,写真測量技術(Structure from Motion with Multi-View Stereo Photogrammetry)により作成した3次元地形モデルの差分から斜面変状箇所を抽出する「地形モデル活用法」の2つの写真計測技術について検討を進めてきた1)2).背景差分法での落石箇所抽出には,比較する前後の2画像を重ね合わせが重要であるため,比較する写真は撮影位置と撮影方向を揃えた同じ図郭である必要がある.一方,地形モデル活用法は,2時期で得られた3次元モデル間の差分解析のため,背景差分法で不可欠であった色調の処理や同じ図郭での撮影を必ずしも必要としない利点がある.そこで本発表では上記2種類の斜面点検手法ついて比較を行い,それぞれの利点・注意点を整理した。その結果,急崖斜面への背景差分法への適用の際には,斜面表面に特徴点を配置した立面オルソを作成することにより,2時期のUAVの位置情報や撮影画角の違いの影響が軽減され,差分抽出において効果的であることが明らかになった。また地形モデル活用法については,背景差分法では検出するのが困難なガリー域の侵食や、斜面脚部への土砂移動の傾向といった微細な地表面変動の検出において有効であった。一方で,オーバーハング等複雑な斜面形状に伴う不可視領域については点群モデルの構築がうまく行われず,落石変状箇所が正しく抽出されない事例が確認された.これらの結果は,落石や土砂移動箇所の抽出において2手法間には得手不得手があることを示し,捉えたい現象や規模により適切なUAVの運用方法・写真計測技術手法を選択する必要があることを意味する.

参考文献
1)寒地土木研究所寒地基礎技術研究グループ防災地質チーム:写真計測技術を活用した斜面点検マニュアル(案). https://chishitsu.ceri.go.jp/soft.html.
2)寒地土木研究所寒地基礎技術研究グループ防災地質チーム:空中写真から作成した地形モデルを活用した斜面調査マニュアル(案). https://chishitsu.ceri.go.jp/soft.html.