10:45 AM - 11:00 AM
[T14-O-6] Rapid and long-lasting bedrock flow-paths sealing by a ‘concretion-forming resin’: post resealing M5.4 inland earthquakes in URL, Japan
Keywords:Concretion, Sealing, Bedrock flow-path, inland earthquake
炭酸塩コンクリーションは、海底堆積物中に埋没した生物遺骸から拡散した有機酸と海水中のカルシウムイオンとの過飽和・沈殿反応により、メートルサイズでも数年程度という地質学的に極めて短期間で形成され、形成後も、数万年~数千万年の長期間に渡って安定的に存在することが明らかとなっている(e.g., Yoshida et al., 2015; 2018)。現在この特性を応用し、地下岩盤の長期的亀裂シーリング剤の開発及び原位置での実証試験を進めている。本報告では、そのコンクリーション化剤による地下岩盤水みち亀裂シーリング実証試験結果について報告する。
今回開発した人工的コンクリーション化剤‘コンクリーションシード(略称コンシード:特許第6889508号;特許7164119号;特許7215762号)’の利点・特徴は、
1)従来の物理的圧入法と異なり、元素の拡散・沈殿によりミクロンオーダー以下の微細な空隙もシーリングが可能であること
2)元素の拡散によるシーリングであり、地下水の(高)間隙水圧の影響を受けないこと
3)地下水中の自然由来の重炭酸イオンやカルシウムイオン、あるいはコンクリートからの溶出カルシウムイオンも活用し、持続的かつ長期的なシーリングが可能、という点である.
このコンシードを用いた実証試験を、日本原子力研究開発機構の幌延深地層研究センター(北海道幌延町)で行っている。試験の目的は、地下350mの試験坑道において、地下坑道掘削に伴い生じた岩盤の破壊領域(掘削損傷領域:EDZ)部分を対象とし、コンクリーション化剤によるシーリング効果を確認することである。試験方法は、坑道壁面や底盤からEDZを含む深さ1〜2mのボーリングを複数本掘削し、そのうちの1本を透水性変化のモニター孔として残し、他のボーリング孔にコンクリーション化剤を注入し、時間経過と共に主にEDZ中の水みちが閉塞され透水性が変化していく様子をモニターしている。その最新の結果では、地下坑道周辺の掘削に伴い生じたEDZ(掘削影響領域)の透水係数が、半年で2オーダー以上低下し、周辺母岩とほぼ同レベルの透水性に改善された。オーバーコアリングの観察によって、割れ目がコンクリーション化による炭酸カルシウムの充填でシーリングされていることを確認している。さらに、本試験中にM5.4の直下型地震が発生し透水性が一旦擾乱されたにも関わらず、数ヶ月後には元の低透水性にリカバリーされた。これは、コンクリーション化剤の長期的シーリング効果を保証する現象と言える。
今後さらに実証研究を進めるとともに、将来的には岩盤中の割れ目帯や断層破砕帯などの大規模水みちの止水対策や,既存トンネルの修復に用いられるグラウト技術の代替策として、さらにはCCSや石油廃孔の長期シーリングなどへの適用性も検討する計画である。なお本研究は,経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和3年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地層処分施設閉鎖技術確証試験)」及び中部電力特定テーマ公募研究助成研究による成果を含む。
文献)
Yoshida et al. (2015) Scientific Reports doi:10.1038/srep14123;
Yoshida et al. (2018) Scientific Reports doi.10.1038/s41598-018-24205-5.2
今回開発した人工的コンクリーション化剤‘コンクリーションシード(略称コンシード:特許第6889508号;特許7164119号;特許7215762号)’の利点・特徴は、
1)従来の物理的圧入法と異なり、元素の拡散・沈殿によりミクロンオーダー以下の微細な空隙もシーリングが可能であること
2)元素の拡散によるシーリングであり、地下水の(高)間隙水圧の影響を受けないこと
3)地下水中の自然由来の重炭酸イオンやカルシウムイオン、あるいはコンクリートからの溶出カルシウムイオンも活用し、持続的かつ長期的なシーリングが可能、という点である.
このコンシードを用いた実証試験を、日本原子力研究開発機構の幌延深地層研究センター(北海道幌延町)で行っている。試験の目的は、地下350mの試験坑道において、地下坑道掘削に伴い生じた岩盤の破壊領域(掘削損傷領域:EDZ)部分を対象とし、コンクリーション化剤によるシーリング効果を確認することである。試験方法は、坑道壁面や底盤からEDZを含む深さ1〜2mのボーリングを複数本掘削し、そのうちの1本を透水性変化のモニター孔として残し、他のボーリング孔にコンクリーション化剤を注入し、時間経過と共に主にEDZ中の水みちが閉塞され透水性が変化していく様子をモニターしている。その最新の結果では、地下坑道周辺の掘削に伴い生じたEDZ(掘削影響領域)の透水係数が、半年で2オーダー以上低下し、周辺母岩とほぼ同レベルの透水性に改善された。オーバーコアリングの観察によって、割れ目がコンクリーション化による炭酸カルシウムの充填でシーリングされていることを確認している。さらに、本試験中にM5.4の直下型地震が発生し透水性が一旦擾乱されたにも関わらず、数ヶ月後には元の低透水性にリカバリーされた。これは、コンクリーション化剤の長期的シーリング効果を保証する現象と言える。
今後さらに実証研究を進めるとともに、将来的には岩盤中の割れ目帯や断層破砕帯などの大規模水みちの止水対策や,既存トンネルの修復に用いられるグラウト技術の代替策として、さらにはCCSや石油廃孔の長期シーリングなどへの適用性も検討する計画である。なお本研究は,経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和3年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地層処分施設閉鎖技術確証試験)」及び中部電力特定テーマ公募研究助成研究による成果を含む。
文献)
Yoshida et al. (2015) Scientific Reports doi:10.1038/srep14123;
Yoshida et al. (2018) Scientific Reports doi.10.1038/s41598-018-24205-5.2