9:00 AM - 9:15 AM
[T8-O-1] Changes in the forearc stress field and backarc rifting of the southern Ryukyu arc
Keywords:Stress, Ryukyu arc, Quaternary, Minor fault, Okinawa Trough
応力場はどんな時間スケールで変化するのか?プレート運動を定常運動と見なすことができる期間は106~107年である一方で(例えば,Argus and Gordon, 1990),World Stress Map Projectにより,第1次オーダーとよばれるプレート規模の広域応力場がプレート運動で支配されることが判明している(Zoback, 1992).したがって,プレート規模の応力場はそうした時間スケールで変化せざるをえない.ではもっと水平的広がりの小さい,第2次,第3次オーダーの応力場はどのくらいの時間スケールで変化するのだろうか?
この問いに直接答える代わりに,現在の応力場がいつ成立したかを検討した.具体的には,Chibanian以降の層序が細分されている,琉球弧南部の島々の琉球層群(Hanzawa, 1935; Kizaki, 1985)を切る小断層で応力逆解析を行った.琉球前弧の現在のテクトニクスは,背弧リフティングに伴うarc-parallel extensionで特徴づけられる(例えば,Kubo et al., 2002; Kubo and Fukuyama, 2003; Nakamura, 2003).
本研究では,宮古島,多良間島,石垣島,小浜島,波照間島,与那国島の更新統琉球層群を切る小断層から得た142の断層スリップデータに対して多重逆解法(Yamaji, 2000)を適用した.結果として,琉球層群堆積後の応力変遷は3つのドメインに整理された.ドメイン I は,宮古島,多良間島,石垣島,小浜島を含み,0.20–0.10 Maの石灰岩を切る小断層から,先行研究が報告する2つの正断層形成応力(σ3軸の方向が島弧に高角に交わる応力と島弧に平行方向の応力)を検出した.両応力に対応する小断層の切断関係から,後者の応力が前者の応力より新しく,このドメインにおけるarc-parallel extensionは125 ka以降に始まったと考えられる.波照間島では,200–125 kaに堆積した石灰岩を切る小断層から横ずれ断層形成応力が検出され,ドメインIIとする.与那国島はドメインIIIとして,125 kaの石灰岩を切る小断層から沖縄トラフの拡大方向(Sibuet et al., 1998)におおむね一致するNNE–SSW方向のσ3軸を持つ正断層形成応力が検出された.
今回対象とした地域の応力場は,12.5万年前より若いことが明らかとなった.これは,沖縄島,宮古島,石垣島,与那国島の中新統と鮮新統を切る小断層を検討したFabbri やFournierらの結果より1桁若く(Fabbri and Fournier, 1999; Fabri, 2000; Fournier et al., 2001),島弧の応力場が短期間で変化しうることを示唆する.この地域の0.125 Ma以降の応力場の変化は,すぐ北側の沖縄トラフの拡大方向の変化(Sibuet et al., 1998)と同期していた可能性がある.
引用文献:Argus, D. F. & Gordon, R. G., 1990, JGR, 95, 17315–17324; Fabbri, O., 2000, 地質学雑誌, 106, 234–243; Fabbri, O. & Fournier, M., 1999, Tectonics 18, 486–497; Fournier, M. et al., 2001, JGR, 106, 13751–13768; Hanzawa, S., 1935, Science Reports of the Tohoku Imperial University, 2nd Series, Geology 17, 1–6; Kizaki, K., 1985, Geology of the Ryukyu Island Arc; Kubo, A. et al., 2002, Tectonophys., 356, 23–48; Kubo, A. & Fukuyama, E., 2003, EPSL, 210, 305–316; Nakamura, M., 2004, EPSL, 217, 389–398; Sibuet, J.-C. et al., 1998, JGR, 103, 30245–30267; Yamaji, A., 2000, JSG, 22, 441–452; Zoback, M. L., 1992, JGR, 97, 11703–11728.
この問いに直接答える代わりに,現在の応力場がいつ成立したかを検討した.具体的には,Chibanian以降の層序が細分されている,琉球弧南部の島々の琉球層群(Hanzawa, 1935; Kizaki, 1985)を切る小断層で応力逆解析を行った.琉球前弧の現在のテクトニクスは,背弧リフティングに伴うarc-parallel extensionで特徴づけられる(例えば,Kubo et al., 2002; Kubo and Fukuyama, 2003; Nakamura, 2003).
本研究では,宮古島,多良間島,石垣島,小浜島,波照間島,与那国島の更新統琉球層群を切る小断層から得た142の断層スリップデータに対して多重逆解法(Yamaji, 2000)を適用した.結果として,琉球層群堆積後の応力変遷は3つのドメインに整理された.ドメイン I は,宮古島,多良間島,石垣島,小浜島を含み,0.20–0.10 Maの石灰岩を切る小断層から,先行研究が報告する2つの正断層形成応力(σ3軸の方向が島弧に高角に交わる応力と島弧に平行方向の応力)を検出した.両応力に対応する小断層の切断関係から,後者の応力が前者の応力より新しく,このドメインにおけるarc-parallel extensionは125 ka以降に始まったと考えられる.波照間島では,200–125 kaに堆積した石灰岩を切る小断層から横ずれ断層形成応力が検出され,ドメインIIとする.与那国島はドメインIIIとして,125 kaの石灰岩を切る小断層から沖縄トラフの拡大方向(Sibuet et al., 1998)におおむね一致するNNE–SSW方向のσ3軸を持つ正断層形成応力が検出された.
今回対象とした地域の応力場は,12.5万年前より若いことが明らかとなった.これは,沖縄島,宮古島,石垣島,与那国島の中新統と鮮新統を切る小断層を検討したFabbri やFournierらの結果より1桁若く(Fabbri and Fournier, 1999; Fabri, 2000; Fournier et al., 2001),島弧の応力場が短期間で変化しうることを示唆する.この地域の0.125 Ma以降の応力場の変化は,すぐ北側の沖縄トラフの拡大方向の変化(Sibuet et al., 1998)と同期していた可能性がある.
引用文献:Argus, D. F. & Gordon, R. G., 1990, JGR, 95, 17315–17324; Fabbri, O., 2000, 地質学雑誌, 106, 234–243; Fabbri, O. & Fournier, M., 1999, Tectonics 18, 486–497; Fournier, M. et al., 2001, JGR, 106, 13751–13768; Hanzawa, S., 1935, Science Reports of the Tohoku Imperial University, 2nd Series, Geology 17, 1–6; Kizaki, K., 1985, Geology of the Ryukyu Island Arc; Kubo, A. et al., 2002, Tectonophys., 356, 23–48; Kubo, A. & Fukuyama, E., 2003, EPSL, 210, 305–316; Nakamura, M., 2004, EPSL, 217, 389–398; Sibuet, J.-C. et al., 1998, JGR, 103, 30245–30267; Yamaji, A., 2000, JSG, 22, 441–452; Zoback, M. L., 1992, JGR, 97, 11703–11728.