[T1-P-14] Hydraulic properties of Kakkonda granitic rocks under high P-T conditions
Keywords:Granite, Permeability
近年、我が国では高温高圧の超臨界地熱資源の利用に向けた研究開発が進められている。超臨界地熱資源を利用できれば、従来よりも大出力の発電が実現できる可能性がある(例えばAsanuma et al., 2012)。地熱資源の利用に向けて、地下貯留層内での流体移動を予測することは不可欠であり、そのためには有望地域の地下に分布する岩石の水理特性に関する情報が必須である。 本研究では、葛根田地熱地域で掘削されたWD-1a井の地下約2.8 – 3.2 kmより採取された葛根田花崗岩の浸透率を測定した。実験に用いた試料の初期間隙率は2.1%(WD-1a No. 10)と2.8%(WD-1a No. 12)である。実験には産総研設置の高温高圧ガス圧式変形試験機を用いた。実験では、温度は葛根田地域で推定された地下温度プロファイルを踏まえて375 – 436℃に設定し、圧力は試料採取深度で推定された上載岩圧と間隙水圧を踏まえて設定をした。浸透率は、各温度・圧力条件で間隙圧オシレーション法により測定をした。 実験の結果、WD-1a No. 10試料では、有効圧が10 MPaから46 MPaに増加するにつれ、浸透率は~10-18 m2から~10-19 m 2まで低下した。また、WD-1a No. 12試料では、有効圧が10 MPaから52 MPaに増加するにつれ、浸透率は~10-17 m2から10-18 m2まで低下した。これらの結果に関して,初期間隙率の大小と,同一圧力条件下での浸透率の大小の関係は整合的である。一方,両実験では温度条件は異なっており、このことが浸透率の大きさに影響している可能性がある。例えば、Moore et al. (1994; 2001)は、Westerly花崗岩を用いた実験において、昇温直後に限れば、高温ほど浸透率が高いという傾向を報告している。両実験の結果も、高温ほど浸透率が高いというMooreらの結果と整合的である。本発表では、試料の微細亀裂構造や他の温度・圧力条件での実験結果を含めて、より詳細に議論をおこなう予定である。